<EP_032> EDENの封印
グノーカス国が健在なことを確認すると、ジェイムズは森の街道に降り立った。
(消すのは可哀想だしね。)
そのまま街道を歩き出すと、兵士の悲鳴が聞こえてくる。
(これも強制イベントなんだ。やれやれ……)
ジェイムズは足元の小石を拾うと遠くに見えたコズミックベアへと投げる。
コズミックベアが絶命すると、そのまま街道を進んだ。
「ふにゃー、助けてにゃー」
予想通り、遠くからターニャの声が聞こえた。
(解いてやらないと、ずっとこのままなんだろうか?)
そんな考えがよぎるが、縛られたままなのも可哀想なので、ターニャに近づいて罠を解いてやる。
「ありがとう。森にご飯を取りに来たら罠に引っかかったんだにゃ。お兄さんが来てくれて助かったにゃ」
罠を解いたターニャが言ってくる。
「それは良かった」
「アタシはターニャ。お兄さんは?」
「ジェイムズだ」
「ふーん、ジェイムズって言うんだ」
前回と全く同じ会話をすると、ターニャの腹が鳴る。
ジェイムズは足元の石を拾うと黄金に変える。
「はい。これを持って街に行けば食べ物が買えるよ。じゃ、気をつけてね」
黄金をターニャに渡すとジェイムズは街道へと戻っていく。
「ちょ、ちょっと待ってにゃ。アタシもついていくにゃ」
黄金を渡され、目を白黒させていたターニャは慌てて、ジェイムズの後をついていった。
(やれやれ、ターニャの加入は強制イベントなのか)
無邪気な笑顔で走り寄ってくるターニャを見て、ジェイムズは眉をひそめた。
ターニャと森を抜けると、ジェイムズはそのままボケータ国へと急いだ。
アリスとの出会いをキャンセルしたかったからだ。
そのまま、ボケータ国へと入ると、拾った石を黄金に変え、小さな部屋を借り、ターニャとともに住むことにした。
ジェイムズはそのまま【楽園】スキルの研究に没頭していく。
その結果、いくつかわかったことがあった。
まず、ゼロとして使える魔法に関しては、ゼロの能力であるため【楽園】スキルは発動しない。
ゼロとして設定された強大な魔力はあくまでゼロの能力なので【楽園】とは関係無かった。
ただ、ジェイムズが思ったことを【楽園】は勝手に実行してしまうので、そこには注意を払う必要がある。
そのため、ジェイムズは常に画面を出しておき、【楽園】の発動ログが更新される度に打ち消した。
(コイツは面倒だな)
そんな想いがよぎった時に限って【楽園】の発動ログは点滅するだけで、ログの更新をしない。
(もしかして、俺が【楽園】を止めようと考えているから、それを拾って【楽園】を止めるコマンドを呼び出そうとして、演算処理が一瞬止まるんじゃないか?)
そんな仮説にたどり着く。
【楽園】の発動ログには音声入力が基本ではあるが、画面に直接触ることでも書き込むことができるようであった。
(音声入力じゃなくて、直接書き込んでやれば【楽園】を止められるんじゃないだろうか?)
そんな仮説にたどり着き、ジェイムズは実行することにした。
【EDEN System Activate.】
EXECUTE: EDEN System SEAL_UP.exe
ジェイムズが書き込んで実行をすると、画面が赤くなり、警告文が映し出される。
[WARNING: SYSTEM INTEGRITY ALERT]
EDEN System Seal_UP.exe を実行しようとしています。 この操作は基幹レジストリを恒久的に書き換えます。
レジストリを書き換えますか?
[Y/ N / ADVANCED_SETTINGS]
ジェイムズは迷わずYを選択した。
画面が数度点滅し、「EDEN System Seal_UP.exe Complete!」の文字が表示された。
ジェイムズは恐る恐る【楽園】スキルを発動してみる。
【EDEN System Failed.】
現在【EDEN System】は使用不能となっています。復旧させますか?
[Y/ N / ADVANCED_SETTINGS]
表示された画面にジェイムズは喝采をあげる。
「ジェイムズ、急に大きな声を上げて、どうしたにゃ?」
あまりの大きな声にターニャが飛び込んでくる。
ゼロはターニャを抱きしめ、静かに涙した。




