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<EP_016> 倫理観

ゼロが服を着てリビングに移動すると、マリアは台所に立ち、ターニャはテーブルに座って朝食が出るのを待っていた。

「ゼロも起きてきたにゃ。とっととご飯にするにゃ」

ターニャはいつもと変わらない様子で、ゼロがぎこちない動きでテーブルに座ると、マリアがパンとスープを持ってきた。

三人で朝食を摂ったがゼロは何も味を感じなかった。


「マリアもここに住むのにゃ?」

「ええ、ゼロが良ければそうしようかと思ってるわ」

(マリアもここに住むだって。何を考えているんだ)

驚きすぎて固まっているゼロをターニャが不思議そうに見る。

「ゼロ、どうしたにゃ?マリアはここに住んじゃダメにゃのか?」

「ゼロ……」

「マリアの家は壊れちゃったにゃ。だったら、ここに皆で住むにゃ。それが楽しいにゃ」

「あ、あぁ……そうだね。……ボクは構わないよ」

街にあるマリアの自宅が更地になっていたのを思い出し、ゼロは絞り出すように答える。

ターニャは、ゼロの返答に満面の笑みを浮かべた。


「やったにゃ!アタシとマリアとアリスと、ゼロの赤ちゃん。みんなで賑やかになるにゃ!」

「そうね。きっと楽しいわ」

目の前で、親友の妻と、自分の愛人が、何の軋轢もなく、ゼロの家族計画について談笑している。

(マリアも、ターニャも、全く疑問を持っていない。バーカスへの配慮も、アリスへの気兼ねもない……)

ゼロは、自分が吐き出したい、戸惑いや罪悪感、そしてこの世界への恐怖が、この二人の完璧な笑顔によって、喉元で詰まっていくのを感じた。


朝食が終わるとマリアは荷物を持ってくると言って街へと引き返していく。

マリアが遠くなると、ゼロは恐る恐るターニャに尋ねた。

「タ、ターニャ……ホントに良いのかい?」

「にゃにが?」

「その……ここにマリアが一緒に住むってこととか……ボクとマリアが一緒に寝てたこととか……」

「そんなこと気にしてたのにゃ。全然構わないにゃ。ゼロは一番強い男にゃ。その男の子供を欲しがるのは当然にゃ。アリスも言ってたにゃ。ゼロが望むなら、ゼロは誰を愛そうと構わないにゃ」

そう胸を張って答えるターニャを見て、ゼロは自分が抱えている戸惑いや常識が、この世界では間違っているのかもしれないと思い始めてしまう。


(獣人族と人間の種族の違いなんだろうか?しかし、マリアは……)

思考の袋小路に入ってしまい、考え込むゼロにターニャは勢い良く背中を叩いた。

「ゼロ、しっかりするにゃ」

「う、うん」

「ゼロ、マリアも来るなら、この家は狭すぎるにゃ。アリスの赤ちゃんも増えるんだし、もっと大きな家が欲しいにゃ」

「そうだな」

元々、このログハウスはターニャとの二人暮らし用に作ったものなので、マリアを加えた大所帯では手狭過ぎた。


ゼロはターニャに生ゴミを持ってこさせると、地面へとぶち撒ける。

「サーヴァント召喚!大きな家を作れ!」


【EDEN System Activate.】 COMMAND\_TARGET: BUILD\_LARGE\_HOUSE(ID:001).

RESOURCE\_INPUT: Organic\_Waste(ID:009) \to PROTOCOL: SYNTHESIS\_TRANSFORM.

OUTPUT\_DEPLOYMENT: Golem\_Servant(x3), Construction\_Material. CAUSALITY\_CHECK: PASS. STATUS: EXECUTE.


ゼロの言葉とともに目の前に半透明の画面が現れ、ゴミから複数のサーヴァントが作られ森へと材料を取りに消えていく。

今まで気にしていなかったが、画面に流れる文字を見て、ゼロの頭に再び映像がフラッシュバックした。

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