<EP_013> ブラックドラゴンの襲撃
「ゼロ、大変にゃ!お城が襲われてるにゃ!」
血相を変えて飛び込んできたターニャの言葉にゼロは飛び起きる。
城のほうを見ると、黒い大きな竜の姿が見えた。
「くそっ」
ゼロは舌打ちすると、剣を携えてログハウスを飛び出す。
「高速飛行!」
ゼロが魔法を唱えると身体がフワリと浮き上がり、城へと飛んでいく。
城下町の上空で一刀のもとに黒い龍の首を跳ねると、ドラゴンはそのまま街へと落下した。
ドラゴンが死んだことを確認すると、ゼロは城へと飛ぶ。
「アリス、無事か!」
城へと飛び込んだゼロへ大きなお腹を抱えてアリスが抱きついてきた。
「ああ、ゼロ様。再び街を救っていただいてありがとうございます」
「アリスが無事で良かったよ」
「おお、ゼロ殿。良く来てくれた」
抱き合う二人にボケータ王も声をかけてくる。
追いついてきたターニャが飛び込んでくる。
「ゼロ、アリス!大変にゃ!バーカスとトンマが!」
見ると、バーカスの家の付近から煙が上がっていた。
ゼロが駆けつけた時、瓦礫となった家の前には泣き崩れるマリアがいた。
「マリア!」
「ゼロ……バーカスが……トンマが……」
近くにはゼロが仕留めたドラゴンの死体が横たわっている。
周りの住人から話を聞くと、バーカスとトンマはドラゴンの落下により崩れ落ちる家の下敷きになったとのこと。
共に魔王軍と戦った戦友でもある親友の死に、ゼロは胸の中で泣きじゃくるマリアを抱きしめ、ともに悲しむことしかできなかった。
数日後、バーカスとトンマの葬儀にアリスと共に参加したゼロは、喪服姿のマリアを見つめていた。
マリアの家を破壊したドラゴンの死体は既に片付けられ、そこには更地があるだけ。
二人の葬儀が執り行われる。
神官がやってきて、二人への祈りを捧げる。
涙も見せず、毅然と喪主を務める彼女の姿は、痛々しいほどに美しかった。
(これからは俺がバーカスのぶんもマリアを支えなくちゃ)
勝手なことを考えるゼロにアリスは涙を流しながら話しかけてくる。
「マリア、ホントに悲しそう。ゼロ様。マリアをこれからも助けてあげて下さいませ」
「もちろんだ。バーカスはオレの親友だ。そして、マリアも戦友であり、その妻だ。助けてやらない理由はない」
「さすがですわ、ゼロ様。マリアをこれからはバーカス以上にマリアを守って上げて下さいませ。マリアもそれを望んでおりますわ」
そう告げるアリスの目には涙はなく、いつもの完璧な笑顔が備わっていた。
二人の葬儀が終わり、「ショックを受けてるアリスが心配にゃ」と言うターニャを王城に残し、ゼロは一人帰路につく。
空はどんよりと曇り、家に着く頃には本降りの雨となっていた




