氷の魔鉱石3
シヴァに叩き起こされたラーソンは、寝癖だらけの髪のまま私達の元へとやってきた。
警備の人たちは、ラーソンを見てもドワーフに似ていると驚く事はなかった。事前にダンから聞いていたのだろう。
「冷凍庫が壊されたって?一応修理道具は持って行くが、状態を見ない事には何とも言えんな」
「とりあえず、今から首都に向おう。私が魔鉱石を回収しに行く間、ダンの家で修理に当たって欲しい」
「わかった。しかし、通行証をどこにしまったかな?」
「緊急事態ですので結構です。我々が付き添って、役人に事情を説明します」
「急ごう。ミホ、冬服を出してくれ」
◇◆◇◆◇◆
首都の城壁に近づくと、小高い丘の上で雪が渦の様に舞っているのが見えた。
「あそこは西のエリアだ。西の城門から入った方が早い」
警備の一人が大声を出した。
「ここから二手に分かれよう。ダンとラーソンは冷凍庫の修理を急いでくれ」
シヴァの声を聞いて、年配の警備員が指示を出した。
「キリル、その二人に着いて行って、門番に説明をしてくれ」
「わかりました」
「我々は西の城門へ急ぎましょう。こちらです」
◇◆◇◆◇◆
「止まれ、何者だ?」
西の城門で、私達は門番に止められた。
「南のエリアで警備をしているルイスだ。急いで連れてきた為にこの二人の通行証はないが、人命がかかっている。通行を許可してもらいたい」
「人命?その二人は医者か癒し手か?」
「いや、ドルチェの責任者と職人だ」
「ドルチェ!?あの屋台の?そりゃすごい。しかし、人命とは?」
ルイスが丘の上を指した。
「彼らの屋台の機材から氷の魔鉱石が盗まれた。機材から出された魔鉱石が、魔力を発揮して暴風雪を起こしている。このままじゃ、この辺一帯が永久凍土になるぞ」
夜空の下、月に照らされて白い雪が光っているのを見た門番は、口をポカンと開けた。
「嘘だろ・・・今は夏だぜ」
「魔鉱石が盗まれてから一時半(約三時間)かかっている。このままじゃ犯人の命だけじゃなく、周りの住人にも被害が出る。通らせてくれ」
「通行を許可する」
大きく開け放たれた門を、私達の馬が駆け抜けた。




