↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
強化の時

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
85/87

第1話 今後に期待

 子供たちを連れていく前に、一時王都で休ませることとした。

 安い宿の大部屋を借りて、15人の子供を見る事になった。

 凄く小さな子は少ないので、皆大人しい。大体10歳前後の子だ。


 その子たちが静かに寝ている間、オレとシーアは話し合いをしていた。


 「シーア。この子たちは知り合い?」

 「いいえ。たまに話すだけで」

 「そうか。鉄格子でもバラバラだったんだな」

 「はい。別な檻に入れられてたので、そんなには会話なんて」

 「そうか。まあ。ここからだな」


 家族として動くには、核となる子が必要だ。

 

 「シーア。悪いけど、君がリーダーみたいになってくれるかい。取りまとめしてもらえる助かる。同じ立場だった子が良いと思うんだ」

 「わかりました」

 

 オレが上から命令するよりも、彼女がワンクッション入れてくれたら助かるはずだ。

 この子たちにとっても。


 「若様」

 「はい! どうでした」


 マリンさんが部屋に戻って来た。


 「養子の件は、承諾されました。今回宰相殿が手伝ってくれたようですよ」

 「だよね。誰かが手伝ってくれないとこの早さ・・・まあ、そいつは助かったね」


 あの人って、こういう事に協力的な人だっけ?

 まあいいか。


 「それで若様」

 「はい?」

 「どのように連れていきましょう?」

 「だよな。それが問題だよな」


 大問題だった。15人は大所帯過ぎる。

 王都からリミットタウンまで安全な航路は鉄道だけ。

 だけど。


 「若様、鉄道は莫大な資金が掛かります」

 「そうだよね」


 マリンさんも同じ意見だった。


 「私たちは歩きますよ。お兄様」

 「駄目!」

 「え!?」

 「危ない。それはマリンさんも危なくなる。それだけは駄目だ」

 「・・・マリンさんも?」

 「ああ。オレは学校に戻らないといけないし、戦うのがマリンさんだけになるから、君たちも危険だけど、マリンさんが危ない」

 

 マリンさんには生きてもらわないと駄目だ。

 ブラインの大事な人なんだからな。

 

 「そうですか・・・そうなると、馬車などの移動も危険だと」

 「そうなる」


 馬車もマリンさんの負担がデカい。

 結局馬車でも護衛対象が多すぎるからな。


 「若様。私は・・・」

 「無理は駄目。絶対に駄目。許可しません」

 「ですが」

 「禁止です。あなたの命が大事だと、オレは言ってます!」

 「わ。若様ぁ・・・」


 いちいち泣きそうになるのはどういう事。

 オレって、そんなに君を泣かせるような事言ってないんだけど。


 『コンコン』


 「「「ん!?」」」


 ノックが聞こえた。


 「どうぞ?」

 

 マリンさんがドアを開けるとそこにいたのはジュニアだった。


 『・・・・・』


 現れても無口。

 正直、何しに来たんだと思う。

 カンペみたいに、紙を出し始めた。

 

 『兄さん! これ見て』


 見てるわ! あんた喋んないからね。


 『自分。許可が出ました』


 何の?


 『リミットタウンに修行に行ってもいいらしいです』

 

 は? なんだそれ?


 『自分、修行をつけてもらいたいです。マリン殿にです!』

 

 ・・・。あ、そんなこと言ってたな。


 

 オレがゆっくり彼女に目を向けると、マリンさんもゆっくりオレから目を離した。

 言ったが手前、気まずそう。


 「君がリミットタウンに来る? そんなの親父さんが許さないでしょ。君は近衛軍の長の息子だぞ。一人では危ない。あんな何もない所に呼ぶのも、こっちとしたら無理があるんだよ!」


 何かあったら責任問題になる。

 オレは、こんな大物は預かりたくない!


 『いいえ。お前が守って来いと言われました!』

 「は?」

 『活躍して来いと言われたので大丈夫です』

 

 いや、たしかに・・・。

 兵士として計算すると、めちゃくちゃ戦力になるわ。

  

 『お願いします。アニキ!』


 アニキってなんだ!

 なんか兄弟が増えたぞ。


 「いや。あのね。それ本当なの。許されたの?」

 『はい!』


 こいつが言ってる・・・じゃないや。

 こいつが書いてるだけってないか!?


 「本当?」

 『はい』

 「じゃあ、会わせてもらえる? 親御さんに挨拶させてくれ」


 これで確認しよう。勝手に連れ出したってなったら、ヤバいからな。


 『わかりました。もう一度父に!』


 と書いて彼はダッシュで移動していった。


 ◇


 一時間足らずで、再び訪問してきた。


 『いけますアニキ!』

 「君のお父さんの所?」

 『はい』 

 「じゃあ、案内お願いするよ」

 『はい!』

 「マリンさん。ここで待っ・・」

 「駄目です。私も行った方が危険ではないでしょう。お守りします」

 「・・・いや、別に。でも、子供たちが・・・」

 

 二人で移動するとなると、子供たちが残されるわけで。


 「私に任せてください。お兄様。起きたら対話もして、落ち着かせますので安心を」

 「そうか・・・じゃあ、出来るだけ早く戻ってくるよ」

 「はい」


 シーアに子供たちを任せた。


 ◇


 もう一度王城に。

 王が自室で休んでいるらしく、近衛の仕事も部下が部屋の前に立つ事で、長はお休み。

 ライトニングは、自分の仕事部屋で休憩していた。

 お茶を飲んでいる彼の元にオレは案内された。


 『・・・・』


 ジュニアが顔を見せて、数秒後。


 『・・・・』


 ライトニングが黙って頷いた。

 

 「???」


 オレにはさっぱりわからないけど、二人の間では意思疎通が出来ているらしい。


 『アニキ! どうぞって言ってます』

 「今ので?!」


 さっぱりわからなかった。


 『こちらに』

 「ありがとう」


 正面に座ると、ライトニングが。


 『・・・・・』


 黙ってコップを渡して来た。


 何も入っていないんで、不思議に思ってると。

 急須を差し出して来た。


 『・・・・・』


 お茶を注いでくれる。

 正直に言おう。何をするかくらいは言ってくれ!


 『・・・・・』


 注ぎ終わると、右手を前に出して、どうぞとジェスチャーした。

 

 「あ、ありがとうございます」

 

 一口飲む。

 めちゃくちゃうめえ。

 ビックリするくらいの美味しさで、目玉が飛び出るかと思った。


 「う。うま・・じゃないや。美味しいです」 

 『・・・・』


 ニッコリ笑って頷いた。

 感情表現はしてくれるらしい。


 「あのすみません。お話があってですね。あの息子さんを、リミットタウンに送り出すって本当の話ですか?」

 『・・・・』


 うん。

 に見える頷き方だ。


 「いや、それは危ないかと思いますよ。オレの町は、何もなくてですね。襲撃に遭ったらと思うと。息子さん、最悪亡くなるかもしれませんよ」

 『・・・・』


 首を横に振った。


 「それでも大丈夫だと?」

 『・・・・』


 頷いた。


 「いやいやいや。大事な息子さんですよね」

 『・・・・』


 頷いた!


 「ですよね。だったら、オレの町での修行は危険度が高すぎますって。もう少し安全な場所でもいいのでは?」

 『・・・・』

 

 あれ? 動き出したぞ。

 ジュニアを呼び出して、カンペの紙をもらった。

 ペンで書き始めた。

 この親子、話せよ!!!

 訪問者が目の前にいるんだよ。

 家族間ならいいけど、他人には分かりやすいコミュニケーションを取ってくれよ。


 『可愛い子には旅をさせよ』


 ん?

  

 『獅子は我が子を千尋の谷に落とす』

 

 はい?


 『若い内に苦労をした方がいい』


 なんだ?

 ことわざ??

 最後のは違うよね。


 『だから、外で修行をさせる』


 話が繋がってるんだ。


 『ブライン殿・・・英雄が育った環境こそ、我が息子にとっても最高の環境かと』


 だからって、あんな町に?


 『よろしくお願いします。遠慮せずに厳しく指導をお願いします。マリン殿がしてくれると聞きましたから、マリン殿にも』


 ライトニングは、オレに頭を下げてから、マリンさんにも頭を下げた。


 「そう来ましたか。ふぅ。ならば、こっちもですね。覚悟を決めますよ。ジュニア!」

 『はい!』

 「いいんだな」

 『はい!』

 「わかりました。ライトニングさんがそうおっしゃるなら、ジュニアを最強に仕上げますよ。マリンさん。そのつもりでいきましょう」

 「はい! おまかせを」

 

 オレが立ち上がって、彼に宣言する。


 「こうなったら、ロア王国一の戦士にしちゃいますからね。いいですか。ライトニングさん」


 オレが手を出すと。


 『無論。異議なし』


 と彼が言ってから握手をしてくれた。


 話せるじゃん!!!


 と思ったのは、言わないでおこう。

 良い雰囲気の所に、水を差すからさ。でも話して欲しいよ。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。