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リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
英雄の孫

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第17話 謁見

 王城での話し合いだから、どこかで事情聴取かと思いきや。

 オレは王の間に呼び出されて、そこで話し合いとなった。


 玉座に王。

 堂々たる姿はまさに王。

 画面では感じない。対面での緊張感がある。


 「貴殿がブラインだな」

 「はい。王様。お・・・私がブライン・レッドピックです」


 とりあえず跪いて挨拶しとけば問題ないでしょう。


 「これが、英雄クロノの孫」

 

 と呟いたのはゴア・ラインガルド。

 ノア同様。大きな体の彼はお喋りだから、ついつい独り言が漏れ出ている。


 「・・・・」


 そして相変わらずの無口で王の後ろを守っているのが、ライトニング。

 ジュニアもだけど、何にも話さない。

 こういう場所じゃなくても、確か一言も発しないはずだ。


 それで王の真横にいるのが。

 

 「ブライン殿。立っていてもよろしいのですよ。そこまで正式なものじゃありません」


 宰相ラバン。

 国家の重要人物が、ここにいる。

 だってあと一人。左にいるゴアとは反対に、オレの右手側にいるのが。


 「ほう・・・これがか」


 トリス・メリーランド。

 最強最悪の魔法使い。レインの師だ。


 「ありがとうございます。ですが、この場であれば、この対応が宜しいですよね?」

 

 だって王の間に呼ばれたんだぞ。

 それにこの周りの人間たちの圧。ヤバいだろ。これなに?

 他国の使者でも呼んだんか。ってくらいに圧があるんだけど。


 「ブラインよ」

 「はい王様」

 「なぜ貴殿がここにいる? 学校はどうした」

 「それはですね。夏休みに、王都を訪問するためにマーキングをする所でした」

 「ん?」

 「それが、会長・・・いえ、王子から言われまして。夏休みは王都に来いと」

 「ああ。そうか。あの事だな」


 王様は何かを思い出していた。 

 説明を続ける。


 「それでですね。ルーフォン家からも誘いがありますので」

 「なに。ルーフォンだと」

 「え。あ、はい。何か悪い事ですかね?」

 「いや、話を続けてくれ」

 「はい。ルーフォンと王家。どちらのお誘いも断るわけにはいきませんでしたので。私が一気に移動できる手段を得ようと、先回りでマーキングをしようと思いました。これで、どちらにも訪問できるようになりましたので、夏休みは王子の元にも行きます」

 「そうか。それはすまないな。大変な目にあわせてしまったようだ」

 「いえ。このくらいは苦労でもありません」


 移動くらいは苦労ではないね。 

 色んな景色が見えて、おおむね楽しかったし。


 「そうか。そのここにいる事情は聴いた。だが、なぜあの場にいた?」

 「ええ。それは、ジュニ・・・」


 じゃないな。ここは回りくどいが丁寧に言おう。


 「あの事件に首を突っ込んでいた人が、ライトニング近衛兵長の息子さんと分かる前にですね。ギルド会館が騒がしかったもので、そこで話を聞いたら、その事件があって少年一人が裏の人間と対決するとの話で、さすがに一人で戦わせるのはまずいと思って自分もそちらに向かいました。理由としたらそんな単純な理由です」

 「・・・それは、お節介と言う事か?」


 まあ・・・それはそうだな。


 「まあそうですね。何にも考えてませんでしたね。その子が危ないかなくらいです」

 「か、軽いな・・・なんだか、昔を思い出す言葉だ」

 「え?」


 どういう事?

 今のオレの発言で、昔を思い出すって。

 まさかクロノ?

 ダグノス? どんな感じで王様と会話してたんだ。あの二人って。


 「まあよい。助かったのはお主のおかげのようだからな」

 「お・・」


 オレじゃないや。


 「私は別に何もしていませんが?」

 「いや、ハリスからも事情を聞いたが。ジュニアもな。あれだけ興奮していた奴も珍しいかったな。なあ。ライトニング」

 

 王様が後ろを振り返って、ライトニングを見る。

 するとライトニングも頭をコクンと下げた。

 それだけだったが、いつもよりも深いかもしれない。

 あの人の顔ってそんなに下に下がらないからね。

 なんかいっつも正面向いている絵しか記憶にないし。


 「まあ。これでよかったか。ここに来た理由も偵察や協力を仰ぐわけではなかったって事だったのだ」

 

 偵察? 協力を仰ぐ?

 何言ってんだ。この王様??


 「そうですね。反旗を翻す意味で来たようには思えません」


 宰相も何言ってんだよ。

 オレが、ここに来た理由が反旗?

 なにそれ? 辺境の地にいるオレが反旗を翻すって無理があるぞ。

 町もねえのに。

 せめて町があるなら、やれるだろうけどさ。

 この王都との雲泥の差。技術も魔法も人も、何も勝ててないよ。


 「あの、聞きたい事があるんですけど。いいですか?」

 「なんだ?」


 王様に質問をぶつける。


 「売られそうになっていた人たちってどうなりましたか? 親御さんに返されたんでしょうか?」

 「それは返せる子は返した。そうだったな。宰相」

 「はい。親がいる子供は、その親に返しました」

 「そうでしたか。では、それ以外は?」


 気になる。まさか、教会とかに放り込むのか?

 今はあそこは、あんまりお薦めしないんだよな。


 「教会に空きがあったらそこにも。あとは孤児院などにも空きがあればと」

 「そうですか・・・それって、どれくらいの子がいましたか?」

 「人数ですか」

 「はい。何人くらいが行き場を失ってますか?」

 「15人ほどです」

 「・・・それ、オレの所が預かってもいいですか」

 

 あ、オレって言っちゃった。

 でもいいや。この場が正式じゃないって言ってるし。


 「なに? リミットタウンが引き取ると言ってるのか?」


 王様が聞いて来た。


 「はい。ぜひ」

 「人手か?」

 「それもありますけど、子供が自由に育つ環境を作りたいから、呼びたいです」

 「なに? 自由だと」

 「ええ。教会に行けば、教会の仕事を回される。孤児院に行けば、ほとんど学なんて得られませんから。学校に通えませんでしょ。オレはそれを回避したいです」

 「・・・慈善活動をすると」

 「違いますね。慈善じゃない。未来への投資だ」

 「・・・・・未来?」

 「魔族の襲来があったんです。と言う事はより強き戦士、より素晴らしい職人が必要ですよ」


 そうだ。これは確かだ。人が重要なはずだ。


 「その可能性を秘めているのは大人じゃない。子供だ。オレは、子供を守る。彼らを見守る体制をリミットタウンで作り上げるんです」


 子供の伸びしろはすさまじいものがあった。

 何でもない子が急に伸びる。

 それが、ゲーム時代のリミットタウンで起きていたから、今回も起こせるような気がする。

 現実の世界で、教育をしっかりすれば、成長は可能だと思うんだ。


 「・・・・似ている・・・父親にそっくりだな。貴殿は」


 ダグノス?

 え。ダグノスに似てるの? 今のやりとりだけでわかるものなのか?


 「そうだろう。三子のマリン!」

 「え?!」


 オレの後ろに従者としているマリンさん。後ろを振り向くとすでにむせび泣いていた。


 「はい。その通りでございます。王」

 

 なんで泣いてんの?

 オレ、普通の事言ったよね。

 何も間違えた事は・・・。

 

 「ダグノスの三羽烏。リミットタウンの三人衆。多くの異名があるが、どれを気に入ってるのだ。貴殿は・・・」

 

 そんな異名があったの。

 全然知らないんだけど。

 キョトンとした顔はまずいから、ここは無表情を決め込もう。


 「私は無論・・・ブライン様のメイドであります」


 それ、異名じゃなくね?

 ただの役職じゃん。


 「ふっ。そうか。よろしい。ブライン殿。その子たちがリミットタウンに行くと言ったら、連れていくがいい」

 

 なるほど。子供たちに強制をするな。

 強引な連れ出しは禁じるって事だな。


 「わかりました。ありがとうございます。王様」

 「うむ。下がってよい。有意義であったぞ。ブライン」

 「はっ」


 とりあえず、次は子供たちに会おう。

 色々あったけど、預かれるなら預かろう!

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