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リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
英雄の孫

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第8話 世界の先を案じている

 中間テストは40日目。

 春の節40日に中間テストがある。

 科目は、技・歴史・国語。

 三つからなる。選択授業は実技のテストがあるので、そちらは別になっている。

 受けている人と受けていない人がいるからだ。


 テスト三日前となっているお昼休み時間。

 クラスメイト達は血眼になって頑張っている。

 目が血走っているのはデフォだ。


 「うおおおおおおお」


 そこら中で聞こえる勉強をしている人たちの声。心の叫びが表に出るほどに皆必死だ。

 ガラシア君だってそんな感じだ。


 「ああああああああ」

 

 ちょっと絶望が混じってる気合いの言葉だ。苦戦してるらしい。


 「zzzzzzzz」


 隣の彼女は寝ている。テスト勉強とは無縁らしい。


 クラスメイト達を色々と観察しているオレはというと、余裕でいる。

 ここのテストって、オレにとってだと、カンニングだと思う。

 だって、前と同じ問題だと思うんだ。

 これまで授業内容も同じだった。

 だったらテストだって同じだろうからね。

 ゲーム時代の話だけど、この世界のテストだけはランダム性がない。

 だから暗記してしまえば、テストで上位を獲得するのは容易い。


 「テストは良いとして、問題はその後の流れだよな。どこまで取るべきか」


 満点を取るべきか。

 それとも、わざと間違えて、点数を抑えに行った方がいいのか。

 ここは悩み所だ。

 これ以上悪目立ちしてもな。ブラインは、密かに暮らした方が・・・。

 ってすでに無理か。

 魔族を倒してちゃってる時点で、実力を隠しきるのは無理だよな。


 それにここも同じであれば。

 三科目パーフェクトはスキルブックの贈呈がある。

 何の項目かはランダムだけど、有用なスキルを得られるはずだ。

 やっぱり狙うか。

 ブラインを強くするのは大前提だもんな。

 なんでもいいから、スキルは覚えておいて損はない。

 

 こうしてオレは、変な悩みと共にテストを待っていた。



 テスト当日。

 40日目。


 日本時代のテストのように、試験官の先生から、問題用紙と回答用紙の二枚が配られた。

 問題をみてみる。

 

 テスト科目・スキルは、全く同じ問題。

 基本スキルと状態異常についてだ。これはもはや何も考えなくても答えてしまう。


 テスト科目・国語は、選択式で中学生くらいのレベルだ。

 読み取りで、作者の言いたい事はどれだ問題。正答は1・2・2・1・2・3。

 ってこんな感じで数字で覚えているくらいに、答えを暗記している。


 最後に歴史だ。

 この問題は、若干違う。


 「ん? これは・・・・」


 オレが問題が既に違う。

 これは・・・。

 

 ――――


 世界が闇に包まれ始めた頃。 

 女神は言った。

 「邪神の力を止められません。みなさん、このままでは世界は持ちません・・・ですので・・・」

 神の予言を聞いた人々は。

 「女神様と共に戦います」

 最後まで彼女と共にいる事を願った。

 だが。

 「それではいけません。あなたがたの美しい魂は、守らねばなりません。ここを私に任せ、あなたたちは新天地を目指すべきなのです」

 泣く泣く神の言葉を聞き入れた人々は、神が啓示してくれた光の地を求めて、この地を捨てる決意をした。


 人々は長き旅の末、彷徨い続けた先で、ようやく光を手にした。

 遠き果ての地にて、彼らは安寧の地を手に入れたのだ。

 永劫の平和。苦労の末にこの手に掴んだのだと、誰もがそう思っていたのだが。

 彼らの背後には、人々を恐怖に陥れて来た闇が迫っていた。

 押し寄せる力は強く、光をかき消す勢いで、闇の勢力が増していく。

 このままでは、全てが再び飲み込まれる。

 その絶体絶命の時、神の更なる啓示があった。

 「私の力の一部を授けます。清き聖なる力を与えますので、闇を払うのです」

 こうして、人々の中から大いなる力を有する者が生まれ、世界を維持する支柱を作った。

 それにより世界から闇は退けられた。

 大いなる光を持つ者の存在がある限り、世界に闇が訪れる事が無くなったのである。


 ――――


 「なんで・・・御伽噺の奴だよな。これ? これは魔族とオレたちの関係値の話でさ」


 まさか魔族が出てきたから、歴史問題に組み込んだのか。

 これは、事前警告みたいなものか。

 これから先の危機を案じている?


 「問題文は?」


 オレが問題用紙を見ると第一問目はこれだった。


 女神の力は、誰に授けられた。次の中から選べ。


 1勇者

 2聖女

 3王

 4巫女

 5教皇


 これは、どれで答えればいいんだ。

 オレは悩んだ。

 簡単そうに見えるが、実はすごく難しい問題。

 世界の常識で答えると、2の聖女。

 でも、この先に禁書庫が開いた時に知る情報は、4の巫女もありえる。

 さらに、女神が残した力ってのは正式に言えば、オレたちのジョブだ。

 それにスキルの事も加味される。

 彼女のおかげで、魔人たちや魔物と戦う力を得ている。

 

 だから正確に答えるとなると、4と5も選びたい所。

 ジョブを選択する場所が教会だからな。

 これどうすればいいんだ。

 意外と難問だぞ。



 

 ・・・飛ばすか。

 二問目を見てみた。




 聖女に候補がいるのはなぜか。理由を選べ。


 1 より強き聖女を生むため

 2 聖女には死が付き物だから

 3 我々に授けられた聖なる力を比べるため

 4 光の柱との相性の問題


 おい。これも難問じゃねえか。でもこれで分かるぞ。

 第一問目は聖女でいいんだ。そういう意図で問題を作ってると思う。

 そんなに難しく考えなくて第一問目は聖女で良さそうだ。


 しかし、これはどれも正解なんだが。

 正直な話。選びようがない。マジで全部が正解。

 聖女は、光の柱を守るために存在しているから、光の柱を維持する力が必要。よって相性も正しい。

 より強い光で、より強い魔力を持っていないと駄目ってのも本当。

 それに、多くの候補者がいれば、欠けていっても次の聖女を生み出せるって言う安心感がある。

 だから分かるけど、現段階だとマリアンナだけが希望となっているのが、現代の恐ろしさでもある。

 彼女を失ったら、この世界には闇が訪れる。

 御伽噺でもあるように、オレたちのご先祖様は逃げて来た先で、あの光を守って来たんだ。

 それが失われたら、世界の光は完全に消えて、大いなる闇に飲み込まれ、魔王との決戦が待っているって話さ。

 魔王襲撃ルート。

 それが、リミットタウンの最終段階だと思うんだけど、最近のオレは違うかなって思い始めた。

 あれに行っても、まだ解き明かさないといけない世界の謎がある気がした。

 オレも知らない情報がこの世界にはたくさんある。

 それを紐解かないとオレは・・ブラインは・・・

 生きていけないのだろう。


 「そしてこの正解がどれかも・・・」


 性質上1か。これが無難だな。

 オレは第二問だけカンで答えた。

 

 そして、他の歴史問題はロア王国の歴史などであったので、以前に受けた事のある問題ばかりだった。

 おそらく正解ではあるだろう。

 何度も受け答えしてきたテストだから間違いはないはずだ。



 ◇


 終わった後。


 「死ぬぅ。おら、一回死んだぁ」


 精気が抜けていったガラシア君は、ふにゃふにゃになっていた。

 

 「眠い・・・あーしはテキトーだ」

 

 だろうな。この子、問題を読んだのだろうか?

 ずっと寝てたような気がしたんだけど。


 「ボク。答え合ってるかな。勉強したけど不安だぁ」


 最近のレインはいつも通りになってくれた気がした。

 明るい笑顔が増えてくれたから、オレ的に一安心だ。


 皆が書き終えた回答用紙を集め終えた先生から一言が来た。


 「それでは、皆さん。テストが終わったので、明日がお休みです。自由時間ばかりですので、学校に来てもよろしいですし、都市内で遊んでもよろしいですよ」

 「「「やった!」」」


 クラスメイト達が狂喜乱舞の大騒ぎ。問題用紙が宙を舞った。

 この世界の学校にお休みがないから、皆は待望の休みに喜びを感じる。

 学校がお休みになるのは、緊急事態か。テストの翌日・イベントの日の翌日だけとなっている。

 

 「何して遊ぶか?」

 「ナオは遊ぶ気なの」

 「当り前だろ。遊ぶときは全力よ」

 「勉強は?」 

 「手を抜く」

 「普通、逆だよね」 

 「気にすんな。細かいことはよ」


 ナオは遊びに全力の人だった。


 「ボクもいい?」

 「当り前だろ。なにする。レインは何で遊びてえんだ」


 レインが嬉しそうな顔をした。お姫様が遊びに誘われるなんてない事だろうからだな。

 

 「ボクね! 買い食い」

 「あ?」 

 「友達と! してみたいんだ!」

 「んなもんな。遊びでもなんでも・・・あ。そういうことか。いいぜ。やろう」


 途中で気付くナオはやっぱり口が悪くても優しい子だ。

 レインが絶対にした事のない事だと分かってくれたんだ。


 「おい。ガラタンもだからな」

 「う。うん。いくよ」

 「ブラタンは当然だよな」 

 「そりゃあね」

 「んじゃ。明日はお出かけだぜ」


 オレたちは親睦を深める休日にした。

 これからパーティーとなると思うからさ。

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