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リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
英雄の孫

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第6話 ルート選択だと思う場面

 「君が、ブライン君だったね」 

 「え。あ。はい。ブラインです。会長」


 会長って呼んだ方が良いって事だよな。妹にも兄と呼ばせないんだし。


 「英雄クロノの孫か」


 この鋭い目・・・それにこの顔は、見たことがある顔だ。

 待てよ。いつだ。この顔をするのは、いつ・・ん!?


 わかった。姫様ルート王位継承戦の時だ。

 敵を見る時の顔だぞ。

 これは・・・まさか、ゲイル。

 オレを敵だとしたから呼び出したのか。



 さて、どっちでいく。

 今の状況が原作にないから、想像する事にする。

 流れ的に考えると、レインがいるから姫様ルート。ゲイルがいるから騎士ルート。

 この二つだな。どちらかに味方する場面のきっかけになるかもしれないんだよな。


 ・・・・。


 いや、待てよ。

 オレの隣には、ジルベルトがいる。

 こうなるとまさかロッティの悪役令嬢ルートもあり得るって事か。

 誰を味方にして、敵にするのか。それをここで決めろって事?

 まだ開始して30日やそこらだぞ。

 

 「そうだ。そんなところにいないで座りたまえ」

 「は、はい」


 オレを見ていたゲイルは次に隣のジルベルトを見た。


 「ジル。お前はもういいぞ。仕事はしてくれた」


 席を外せと、手を軽く振る。

 正直、ジルベルトがここからいなくなるのは、やめて欲しい。

 出来たらジルベルトにはいてもらいたい。

 色々と会話していく中でそれぞれの陣営の考えを・・・。


 「会長、仕事はしましたが。私もここに居てもいいでしょうか」

 

 ジル兄。

 ブラインが心配で残ってくれるって事だよな。

 さすがはブライン大好きルーフォン家! 


 「なぜだ。お前に用はないぞ」

 

 クソ。このアニキ。基本路線は良い人だし優秀だけど、若干だけ傲慢なんだよな。

 特に兄妹間だとその雰囲気が強い。


 「ええ。私には用はないでしょうが、会長はブラインに用があるのでしょう」

 「そうだ。だから呼んでもらった」

 「それならば、私にも用があるという事」

 「なに? ど。どういうことだ」


 オレもわからん。

 どういうこと?

 

 「ブラインの用は、私の用も同じです。血を分けていませんが、弟ですから」

 

 どんだけ好きやねん。この人!!

 思わず関西弁になってしまうほど、ジルベルトの愛に驚愕した。

 矢印デカすぎだろ。

 

 「弟だと? どういうことだ。婚約は破棄されたと聞いたが」

 「・・・ぐっ・・それは・・・」


 たしかにそこを突かれるときついよな。


 「妹との婚姻は関係がありません。私は個人的にブラインを弟と思っています」

 「・・・ふん。それは、ルーフォン家とレッドピック家の関係だからか?」


 これ、まずい気がするな。

 もしかして、ゲイルはオレがルーフォンの家に入る事を警戒しているのか。

 

 「家は関係ありません。幼い頃にこの子を弟にすると誓ったのです」

 「幼い頃?」

 「ええ。彼の家とは古くから付き合いがありますから」

 「・・・・」


 打算で付き合っているわけじゃない。

 それは痛いほどわかる。

 なぜなら、ブラインの家は凄い弱小だ。それに対してルーフォンは大貴族。この差があっても彼らは付き合いをやめなかった。

 ブラインの家は、クロノが最盛期を作り上げても、次の代では縮小傾向の憂き目にあってる。

 オレの予想だけど、たぶんそれは英雄クロノの力を削いでいこうとする王家の思惑はあったと思うんだ。

 それで、そこをあからさまに協力できないルーフォン家が、影ながら援助してくれた。

 王家に見えない所でね。

 ロッティとの婚約の件があろうとなかろうと、おそらくこれはずっと続いていたんだと思う。

 それくらいにルーフォン家ってのは、義理人情の家なんだよ。

 でもなんでそんな家に悪役令嬢を置いたんだろうね。

 リミットタウンの開発メンバーってさ。

 そこがよく分からないよ。 

 

 「ジルベルト。やはりお前の家は、次代の英雄を取り込もうとしているのか」

 「「「!?」」」


 会長以外の三人が驚いた表情をした。

 オレも含めて、レインもジルベルトもだ。

 

 「次代の英雄? 何のお話ですか。会長」


 ここはオレが聞くしかない。 

 ジルベルトだとややこしくなりそうだ。


 「君は自分が英雄だと気付いていないのか」

 「オレが英雄!?」


 なんだ。オレって英雄らしいことをしたのか?

 生き延びる事に必死過ぎて、生きる事しか考えてなかったから分からない。


 「魔族を退けた。それも被害なしでだ。それは英雄以外に出来ない事だぞ」

 「は?」


 えっと、その話の流れだと、グアバ戦の事を言っているのか。

 いやあれは・・・。


 「あれは、皆のおかげです。オレだけでは、なにもできませんよ」

 「ん? 妹から聞いた話と違うな。君が倒したと聞いたが」

 

 レインを見ると彼女が目を逸らした。

 

 おい。いったい何を話したんだ。レイン。

 オレが英雄様だ。みたいな自慢話でもしたんか。

 あれは皆で倒しただろうが。オレ一人じゃ勝てなかったんだぞ。


 「ありえません。オレだけが魔族と戦ってたら死んでますよ。あれは皆で倒したんだ」


 そう皆で倒したんだ。

 誰一人欠けてたら勝てなかったんだ。

 ガラシア君もだぞ。彼の盾が無かったら、ノアが危なかったんだからさ。

 鍛冶師すらも重要だったんだから、まじで総力戦だったんだよ。

 オレ一人じゃねえ。勝手に英雄にするな。

 

 「謙遜も出来る男だと・・・そういうことか」


 勘違いすんな。このアニキはよ。

 

 「そうです会長。ブラインは、謙遜ばかりで困ったものなんですよ」

 

 ちょっと、勝手な援護すんな。こっちのアニキも。


 「そうか。誰に対しても謙遜する男か。英雄とはそういうものか。だから祖父は・・・」


 祖父は? それってまさかさ。

 えっと、今で言うと先代国王の事でいいな。

 あいつは、クロノを疎んだ奴だ。

 そうなると、だから祖父はの続きは、英雄を拒んだって言葉が続くはず。


 まずいぞ。これはゲイルがオレを最大警戒してるんだ。

 現在のロア王国の後継者が・・・・オレを警戒!?

 まずい。ルートがどこに進むか分からないけど、現時点ではこの男が次期国王だぞ。

 どうしよう。リミットタウンがまだ小さい。

 せめてな。町が王都に近しい大きさまで成長してたら、大きく出られるけど。

 今の段階だと、ロア王国は敵に回せない。

 ダイナガルトも健在だしさ。それに今のミルス帝国は?

 どうなってんだ。ずいぶん原作と違う流れで来てるから、世界情勢が分からないんだ。

 獣王国もマオリンの件で違う流れっぽいし。

 和大陸の方だって、あっちもどうなってんだ。

 外からの攻撃を受けていたりするのかな。


 よく分からない。今走ってるルートも、辿っているルートも。そんでこれから先選んでも良いルートもだ。


 選択肢が無限にありそうで、狭い感じがする。

 選べない感覚があるな。実際に対面して出会うとさ。

 ゲーム画面だったら、ほい! 

 ワンクリックで簡単決済みたいな感じでいけるのに!


 「兄上」

 「ん。会長だぞ」

 「いいえ。兄上」

 「レイン?」

 「少々強引な会話じゃありませんか。彼に酷く失礼かと。兄上!」

 「・・・れ、レイン?」

 「本当の所はこんな話をするために呼んだんじゃありませんよね。兄上は、ボクが出来てないからじれったくなったのでしょ」

 「・・・す。すまん」


 レインの顔が凄い怖い。

 あんな顔は初めて見た。怒の感情ってあんまり出さないキャラだから余計に怖い。


 「はぁ。そうだ。本題がある。ブライン君」

 「はい?」


 本当に用件があったらしい。

 本題とやらに突入した。


 「夏休み。王都に来てくれ」

 「え? オレがですか?」

 「そうだ。レインの友人として、王に会って欲しい」

 「・・・えええ!?」


 これも全然わからない流れだ。

 一年次の夏休みに王都に行く?

 こんなの経験した事がないんですけど。

 どうしたらいいんだ。オレ。

 これは、何ルートなんだ。いったい!!!

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