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リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
英雄の孫

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第5話 様子がおかしい

 33日目の昼休み後の授業始まる前。

 オレたちが教室に戻って来たら、レインも王都から帰ってきていた。


 「お。帰って来たね。久しぶり。レイン」

 「う。うん。ぶ、ブライン君。みんな」

 「???」


 なんかよそよそしい。

 目も合わないし、顔が赤い気がする。具合が悪いのかな。


 「なんかあったのかな? 分かる?」


 オレが小声で二人に聞くと。

 

 「知らね」


 ナオが答えて。


 「おらも分からない」


 ガラシア君は顔を横に振り続けた。


 「変だな。自分の席にいるし・・・」


 いつもなら、オレたちと一緒にいるのに、今はなぜか自分の席に座っている。

 

 「あ。こっち見た」


 チラッと後ろを確認して来たけど、すぐに前を向いた。

 動きが変だ。


 「おい。ブラタン。なにしたんだよ。ブラタンがレインを見たら目背けたぞ」


 ナオに言われても。


 「さ。さあ。さっぱりわからない。だって一緒にいなかったんだぞ」


 オレにも理由が分からなかった。

 嫌われたのか。いつのまにかさ。


 「まあ。だよな。城に行って、何かあったんかな」

 「城で何かあるもんなのかな」

 「知らね。あーし、パンピーだもん」

 「オレも」

 「いや、あんたは、領主で貴族だろうが」

 「ああ。そうだった」


 ついつい言ってしまった。

 でも本体のオレは、日本人の一般家庭だからね。そう答えるのは当然だよね。


 「たまに抜けてるよな。ブラタンって」

 「たまにじゃないよ。いつも」

 「そうなのか」

 「気を抜いていたらそんな感じさ」

 「今、気抜いてるのか」

 「少しね。まあまあ順調だからさ」


 実は結構順調なんだ。

 オレ自身の成長が軌道に乗り始めているから、このままいくと最終形態を掴めつつある。

 通常形態で運を極めたら、あとは細かい部分を微調整。

 それくらいしかやることがないはず。

 順調じゃないと言ったら、おそらくリミットタウンの工房準備くらいだ。

 アズマ棒が見つからないのさ。

 あれって、いったいどこにあるんだろうか。


 「そうか。まあ良い事じゃねえか。たまには息抜きしないと死ぬぜ。人ならよ。緊張状態が一生は無理だわ」

 「そうだねぇ」

 「ああ。そうなのよ。あーしもゆったりするわ」


 二人でそんな会話をしながらリラックスしていた。

 やっぱりなんとなく波長が合うのがナオだ。

 考え方がオレと同じっぽい。


 ◇


 35日目の昼休み。

 教室に珍しい訪問者が来た。一学年の女子生徒たちが、その人物を見に来る事態になっている。

 

 「BB」


 オレを呼ぶ人物があまりに光り輝いているので、女生徒の注目を浴びていた。黄色い声援が湧き立っている。


 「え、ジル兄?」

 

 わざわざこっちの教室に来るとは。

 オレがそっちに行った方が被害が少なくて済みそう。

 教室内も騒がしく、1-Aの周りの廊下も騒がしい事になってる。


 「ちょっといいかい。こっちに来てもらっても」

 「え? あ、はい」


 オレが廊下に出て彼のそばに行くと、黄色の声援は、もはや黄色くない濁った音になって爆音の会場となった。

 イケメンが二つ並ぶと大変な事になる。


 「BB。あのだね・・・」

 「え? 何言ってます?」


 ジルベルトの声がほとんど聞こえない。

 女生徒たちがうるさい。


 「ん。聞こえないのか。そっちの教室に入ろう」


 という話の気がした。口の動きで気付いてるけど、確信はない。


 「わかりました」


 ジルベルトがオレの背中に手を置いて、エスコートしてくれたから彼がしたい事がわかった。

 教室で会話しようで合ってるらしい。


 ◇


 教室に入ると若干落ちつく。

 外の音はやかましいけど、こちらに来れば問題がない。


 オレの席の周りにて。


 「BB。少し面倒な事になった」

 「え? 何がです? まさかロッティの件?」

 「いや違う。そっちは問題ない」

 「ないんですか」

 「ああ。父上にも許しをもらえそうだ。君が遊びに来てくれたらの条件付きだけどね」

 「ああそうですか」


 オレが遊びに行けば、全部許してもらえる?

 おいおい。あの面白おじさん。ブライン大好き過ぎだろ。


 「じゃあ。どんな件で問題が?」

 「それが生徒会長が君に会いたいと。わざわざ指名してきたんだ」

 「生徒会長が!? これまたなんで?」


 今の生徒会長ってたしか。

 レインの兄。

 ゲイル・スタークスか。


 「私に頼んできたという事は、会う事は絶対のようだ」

 「ジル兄に頼むってオレと会う事を?」

 「そうだ。会長が私に頼み事などありえないだろ。私と彼の間柄だ」

 「・・・書記だから?」

 「いや、役職じゃなくだな。私がルーフォン家で、あちらが王家だからだ」

 「ああ。なるほど」


 主従関係で頼み事をするのは珍しいということだ。


 「それで来てくれるかい?」

 「オレが生徒会室にってことですか?」

 「ああ。放課後に迎えに来るから、一緒に来てほしい」

 「・・・んんん。大丈夫ですかね?」

 「そこは分からないな。会長は何を狙っているんだろか。わざわざ君を指名するってなるのがね・・・」

 「それって何かの意図があるんですか?」

 「わからない。ここに来て、君を呼ぶのはな。何か無理難題でも・・・」


 呼び出しってなんだろう。

 今の段階で、ブラインとゲイルの接点ってないんだよな。

 あの人との接点は、騎士の友情ルートと継承権ルートがメインだ。

 他だと、姫の王位継承戦ルートで敵方。ロア王国内乱ルートで敵方。

 この二つくらいか。

 いずれも、まだ先の話で、あの人とこの段階で知り合うってオレのデータではないんだけど。

 おいおいおい。

 今のルートが分からん。

 会っていいのか。会っちゃ駄目なのか。

 誰か教えてください。


 「じゃあ聞いてみます。レイン!」

 「え。ぶ、ブライン君!?」

 「あのさ。ちょっといい?」

 「え。ええ。う、うん」


 なんか最近ぎこちない。元気もない。レインが珍しく大人しいんだ。

 調子悪いのかな。


 「な、なに?」

 「あのさ。お兄さんがオレを呼び出したんだけど、何か知ってる?」

 「ひょえ!? あ、兄上が?」

 「うん」

 「・・・ま。まさか。兄上!!」


 目つきが鋭くなった。

 何か知ってるのか?


 「何か分かるの?」

 「ブライン君。ボクもいく。余計なことは言わせないから」

 「え? 余計な事?」

 「絶対ボクもいく。ジルベルトさん、ボクもいきます」

 「え。あ、はい」


 女性の扱いが上手いあのジルベルトが姫様に押されていた。

 

 「兄上の企みを阻止してみせる」


 いつになくやる気があるレインだった。


 ◇


 放課後生徒会室。


 「ここに何故妹がいるのかな」

 

 会長が一人、会長の席に座って待っていた。

 妹はお呼びじゃないので、不満そうだ。


 「兄上。どういうことでしょうか」

 「ん? 兄上はやめなさい。今は会長だ」

 「会長。これはどういう事でしょうか」

 

 ピキピキに怒ってるレインなんて見たことがない。

 あのゲイル相手に詰め寄るみたいな形だ。

 

 「私はそこのブライン君に用があっただけだが。どうして妹がここにいる。呼んでいないぞ」

 「兄上は」

 「兄上ではない」

 「会長は! ブライン君を呼んで何を話そうとしているのでしょうかね」

 「ハハハ。分かったぞレイン。お前、私が彼にあれを頼むと思ったのか。こんい・・」


 こんい??

 素早い動きで、彼女の両手が会長の口を塞ぐ。

 こんいってなに?

 

 「会長は、死にたいみたいですねぇ。ボクに殺されたいのかな」

 「んんんん」


 口を塞がれているゲイルは、レインの背後にあるアシッドレインを見ている。

 途中からタップしてギブアップをしていた。


 「はぁはぁ。おい。兄を殺す気か」


 呼吸がやっとできたゲイルは、当然の文句を言っていた。


 「兄? ボクの前にいるのは会長でしょ」


 しらばっくれている。あんな兄妹仲だっけ?

 兄の前だと、もうちょっと控えめな妹だったような気がしたんだけど。


 「こ、この妹め」

 「余計な事を言ったら会長の髪燃やします。頭ツルツルにしますからね」


 アシッドレインの霧が彼女の周りを漂っている。マジで焼く気だ。


 「な!? や、やめろ」

 「だから余計な事を言わないでくださいね」


 凄い圧がある。今まで見たことがないレインだ。


 「わ。わかった。そうするから、大人しくしていなさい」


 ゲイルが慌てふためく姿など見た事のないオレは生徒会室に初めて入室したのであ

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