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リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
聖女の始まり

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第7話 秘密とは、秘密なのだ

 「とんでもない実力者って事は分かったね」


 次の授業が始まりそうなので、皆で移動している途中。


 「ええ。クレアさんは、服を作る天才なんですね」

 「そうみたいだね」


 オレとマリアンナが話していると、疑いの目の彼女が間に立った。


 「それより、ブライン君は惜しいって思ったよね」


 それまだ続くの。なんかしつこいんだけど。


 「全然。大丈夫だよ。何を気にしてんだよ。レイン」

 「本当? 惜しいな。悔しいなって思ったんじゃないの」

 「なんで悔しいが入ってんだよ」

 「もう少しで見られたじゃん。マリアンナのおおおお・・・お!」


 おっぱいって。


 「言えてねえじゃん。それに大きな声で言うなよ。デリカシーねえわ」

 「だって!」


 と喧嘩っぽい話をしていると。


 「惜しいとはなんですか? 私の下着ですか?」

 「「え?」」


 二人で聞き返してしまったら。


 「見ますか? 惜しいと嘆くのであれば、ほら。このような下着でして」

 「いやいやいや。マリアンナ!」

 

 オレが止めの言葉を言って。


 「待った。ごめん。ボクが蒸し返したのが悪い。マリアンナはその手を止めて!」


 レインが止めの行動に出た。彼女の肩を掴んで、行動停止させる。


 「恥じらいを持とうよ。マリアンナ。ボクがほとんど悪いけど、君だって悪いぞ。もっと慎んでね」

 「そうですか? 別に見られてもなんとも・・・」

 「そんな馬鹿な。どういうこと!?」


 あのレインが戸惑う程に、マリアンナの行動は奇行だった。


 「おらも、一個見たことがある奴があったよ」


 ガラシア君は今の会話中何かを考えていたらしい。

 顎に手を置いて、何か悩んでいた。


 「ん? ガッチャンどうしたの?」

 「うん。あの右にあった服。あれは炉の作業の時に着る服に近いかも。火を通さない性質の布っぽさがあった。あれって編めるものなんだ」

 「作業着って事? 耐火性のある服って事かな?」

 「うんそう。防護服の性質のある薄着。動きやすくなるから、制作しやすくなるんだよ。結構仕事着って重要だよ」

 「へえ。そっか」


 それは盲点だったな。たしかに、ゲーム時代だったらそんなこと気にしてなかったけど。

 そうか。服ね。

 動きやすい服の方が効率が上がるかも知れないって話だ。

 それはガラシア君たちだけじゃなくて、農家とか建築業の人とかの服を用意するのも、重要かもしれないな。

 細かい所に配慮が必要だったのか。

 リミットタウンってゲームは・・・もしかしてだけど。



 オレが思考加速で考えている最中も二人の会話は続いていた。


 「だからね。もう少し恥じらいを」

 「恥じらい? 私ってスタイルが悪かったんですか」

 「人に見せられないくらいの体って意味じゃないの!」

 「え? どういうことでしょうか?」


 聖女様に倫理観を教えているお姫様であった。


 ◇


 その日の放課後。

 今日は、シャオリンが来たので、腕章をもらいに職員室に来た。

 

 「この人がその人?」


 先生が言ってきたので。


 「はい。オレの師です」


 オレが紹介すると、シャオリンが続く。


 「シャオリン・ジンセだお」

 

 ニコッと笑っているので、オレは肘うちをする。

 

 「いだっ。何するだお」

 「あのね。シャオさん。お願いしに来たんですよ。もっと神妙になったらどうです。申し訳ないんだから」

 「そうなのかお。じゃあ」


 シャオリンが真剣風な顔になった。

 この人の真面目な顔がよく分からない。

 戦うとき以外は真面目じゃないから、どれがマジなのか分からないんだ。


 「わっち、シャオリン・ジンセと申す者。先生殿。お願いするだお」

 「は、はぁ。ブライン君。大丈夫?」

 「ええ。たぶん」


 先生の不安はオレの不安と同じだ。


 「じゃあ、こちらの腕章をですね。お渡しします」


 黄色の腕章を机の引き出しから取り出した先生はシャオリンに渡すと、今度は別の引き出しから紙を取り出した。


 「そしてこちらの申請書も貰っておいたので、こちらの紙にお名前を記入してください」


 用意が完璧だ。さすがは生活魔法の先生だ。


 「それといいですか。注意事項です。彼が卒業。もしくはあなたが著しい公序良俗違反をした場合。などなどですね。取り上げる原因はいくつかありますが、その取り上げる前まで、管理をお願いします。無くさないというのが一番重要ですね」

 

 それはそうだ。当たり前の話だよ。社会人ならね。


 「は~い」


 不安だ。なんでこんなに返事が軽いんだよ。


 「ではお名前をもらいます」


 シャオリンが自分の名前を書いて、オレの喧嘩騒動は無事に終わった。

 不良生徒になる所であったので、無事に終わった事に感謝する。


 「あ。それと」

 「はい?」

 「違います。ブライン君じゃなくて、そちらのシャオリンさん」


 つい反射的に返事をしてしまったが、オレじゃなかった。シャオリンが返事をする。


 「え。うん。なんだお?」

 「今度のダンジョン見学で、あなたの実力を知りたいと学年主任が言っていましたので、同行お願いできますか」

 「ダンジョン見学?」

 「はい。一学年の子たちが初めて学生ダンジョンに入ります。そこで、皆は引率と共に入っていくのですが。それとは別にあなたも入って頂き、モンスターとの戦いを見たいと。主任は、あなたがどれほどの実力者なのかを知りたいらしいですよ」


 それってさ。学校の先生たちが度肝抜かれるんじゃないか。

 この人、こんな感じだけどさ。

 作中最強クラスの実力者で、この人の爺さんは、世界で五本の指に入る怪物だぞ。

 学生ダンジョンくらいのモンスターなら、余裕で突破するわ。


 「いいだお」

 「そうですか。では、ご同行お願いします」

 「うん。で、いつだお?」

 「あ。言ってませんでしたね。三日後です」

 「了解だお」

 「お待ちしてます」

 「うん。いくだお~」


 軽い返事で終わった。



 ◇


 正式な腕章をもらった事でこの日の修行は誰にも不思議がられないものとなる。

 シャオリンの修行は激しさを増した。


 「うん。駄目だお。黄龍麒麟拳。黄龍の基礎は、上半身の連動。滑らかな動きが基本だお」

 「はい!」

 「でも麒麟になれば、力強さが必須。だから、わっちは教えられないから、爺様に託すんだお」

 「え?」

 「麒麟の方は、爺様が教えることになったんだお。ブラインは才能があるからもったいないんだお。才能があるんだったらテキトーに学ばない方がいいのだお」


 テキトーってさ。

 ゲーム時代は、そっちもあなたが教えてくれたのだが?

 どういう事だ?


 「それって、こちらに爺様・・・マオリンさんが来るって事ですか」

 「うん。二年くらいで片づけるから、それまでに仕込んでおけって言われたお」

 「片付ける? 何をです?」

 「魔族の穴だお。今の所三カ所あるって言っていたお」

 「へ?」

 「魔族が開ける穴を封じるんだお。爺様はそこで決戦をしてるんだお」

 「は? え、戦ってるんですか」

 「そう。あそこから出てくる先兵部隊の魔物を蹴散らしてるんだお。ある程度潰すと閉じるんだお」

 「なんだって」


 ・・・・。

 え!? そんな話聞いたことがねえんだが。


 「黄龍麒麟拳は人知れず人を守る。秘拳なんだお」

 「・・・・」


 マジかよ。本当の意味での秘密だったのか。


 「爺様。楽しみにしてるって言ってたお。だからそれまでに、ブラインを最強に仕上げるんだお! ニシシシ」


 嬉しそうに笑うシャオリンは、オレの成長を楽しみにしてるらしい。

 そうか。オレもだな。これは感謝して突き進もう。どうせだったら最強になりたいしな。


 「はい。お願いします」

 「うん。頑張るだお」


 オレの師がこの人で良かった。

 選んだ道は間違いじゃないはずだ。

 黄龍麒麟拳と共にオレはリミットタウンの世界を生きてみせる。

 

 

 

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