↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リミットタウン 限界の町と瀬戸際の君  作者: 咲良喜玖
怒涛の十日間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/32

第12話 出会うためには

 三日目の学校の朝。

 オレの席に当然のように座っていたのはレイン。

 まるで自分の席のように、我が物顔で陣取っていた。


 「ブライン君。おはよう!」


 笑顔満開! 

 手を振っての挨拶だ。


 「おはようございます」


 こちらは頭を下げて、礼を尽くした挨拶。

 ここは失礼のないようにしていきたい。


 やっぱり相手が死神にでもね。無視はしたくないよね。

 オレは、ここでも人として生きていきたいからね。


 「うん! ところで・・・」


 あんた、交渉下手か。

 いきなり本題に入ろうとするな。

 どうせ、その続きは勧誘だろ。朝からやめてくれよ。


 ガルシア君がこっちを見てくれた。

 助け船を出してくれそうな雰囲気になったけど。


 「お!? あんたは」


 ガルシア君じゃない声が、隣から聞こえてきた。

 オレも、ガルシア君も、レインも、そちらを見る。


 「あれ? 君は・・・」

 「ここでもお隣さんじゃん。どうも。ちっす」

 「どうも」


 隣の席の女性は、隣の部屋の人だった。

 

 「あんた、そういや・・・入学式の不憫な人だな」

 「え。まあ。そうだけどね」


 たしかに、あれは不憫っちゃ不憫だよな。


 「えっと名前は・・・たしか・・あ。そうだ。ブラタン!」

 「ブラインです」

 「あ、間違えちゃった。ごめん」

 「いえ。別に、初めて会ってますしね。初対面のようなものだから、気にしませんよ」

 「そうかい。悪いね」


 女性は素直な人らしい。すぐに謝ってくれた。

 

 「あれ、姫様がどうして、あーしの隣にいるんだ? その席じゃなくて、姫はあっちじゃなかったっけ?」


 女性はレインの席を指差した。


 「こ、これは。ここが心地良いからです」


 心地良いわけあるか。人の席だぞ。


 「心地良いって・・・窓際だから?」

 「ま、まあそうです」

 

 姫様は、他の生徒にだと距離感があるみたいだ。

 壁を感じるような言い回しだ。

 彼女はオレに対してだけフレンドリーである。


 「たしかにな。窓辺の方が眠りやすいしな」


 たぶん、この人。眠る事しか考えてないよ。

 ずっと眠そうな顔してるもん。


 「そ。そうでしょう。だからこの席は私の席でもあります」

 「へえ。席が二個あるのか・・・」


 納得するな。

 こんな我儘通していいわけあるか。

 オレの席どこ行ったんだよ。


 「じゃあ、ブラタンの席はどこ行ったんだ?」


 お、彼女も同じことを思ってくれてた。

 ていうか、ちょっと待ってくれ。


 「なあ、姫様。その席が姫様のならさ。ブラタンはどうなるんだ? 席なし? 立って授業を受けるんか?」


 あれ、ブラタン言い直す気がなかったの?

 まるで本当の名前のようになっているんですが!?

 さっき名前間違えたって言って、謝ってくれたよね?


 「そ。それは。もちろんここの席で・・・」

 「じゃあ、ブラタンの席じゃん。座らせてあげなよ」

 「それは・・・そうですね。あなたの言う通りで・・・」

 「だろ」


 なんか丸く収まりそう。

 この人、姫様を言いくるめたぞ。レスバ最強か?


 「失礼しました。お邪魔しました」

 「え。まあ、はい」

 「また来ます」


 おい。また来るんかい!

 彼女に言い負けても、オレの所にはまた来るらしい。

 レインも諦めが悪いな。


 「あんたも災難だな。姫様に目をつけられたんか」

 「ま、まあそうみたいだね」

 「結構しつこいよな。ずっとここに来てるもんな」

 「知ってたの?」


 この人、他人に興味無さそうなのに。意外と周りが見えるタイプの人か。


 「まあ。ここで寝てるといつも同じ香りがするから、不思議と匂いで覚えちゃったんだよ」

 「そうなんだ」


 この人、犬か?

 匂いで人を覚えるんかい!


 「そうだ。君の名前は? 自分はブラインで。こっちはガラシア君」

 

 仲間外れは可哀想だから、オレはガラシア君も紹介した。 


 「あんたら、友達か」

 「昨日からのね」

 「へえ。あんたも思ってんの?」

 「うん。僕もだよ」


 どういうこと?

 ガラシア君と友達ってのは、オレの妄想だって言いたいのか?


 「そっか。よかったな。友達出来てさ」


 オレに友達が出来ないとでも思ってたの?

 ・・・・。

 いや、あの初日だもんな。

 友達なんて出来そうにないもんな。

 大貴族の御令嬢からの絶縁宣言。

 誰も関わりたいと思わないよね。そう思うと、ガラシア君の方が変わっているのか。


 「君の名前は?」

 「あーし?」

 「うん」


 と言うか君にしか聞いてないんだけど。


 「あーしはナオ・ケシガン」


 初めて聞いた名だ。

 あれだけやり込んでて、覚えてないって、オレもまだまだやり込みが足りなかったようだ。


 「ナオさんね」

 「ナオでいい。あんたは、ブラタンだろ」


 自己紹介しながらナオは握手してくれた。


 「じゃあ、こっちはガラタンで」

 

 タンが好きなんか。

 皆、一律タンかい!

 

 「ガラタン!?」


 ガラシア君。君は嫌なのか?


 「いいね。ガッチャン以外で初めて呼ばれた」

  

 受け入れたんかい!

 笑顔だし、すんなり受け入れてるわ。


 「だろ。イイ感じだろ」

 「うん」

 

 ナオ・ケシガン。

 名前を確認出来て、握手してもらったからステータスが開けた。


―――――――――――――――――――――――

 

 ナオ・ケシガン。女性15歳。職業弓兵。


 HP   221

 MP    55

 攻撃力  102

 防御力   61

 魔攻    42

 魔防    47

 速度    84

 精神力  142 

 知力   261 

 運      7

 

 スキル

 射撃術Ⅲ

 必中Ⅱ

 指揮Ⅴ

 士気向上Ⅲ

 急所突きⅤ

 鷹の目

 地形把握

 罠感知Ⅲ

 罠回避Ⅳ


―――――――――――――――――――――――

 


 基礎ステータスが高い。それに独特なスキルが並ぶ。

 意外と強いぞ。この人。

 もしかして、このスキルだと、部隊を運用する側?


 「ナオは、どこの人なの? ガッチャンは、家が鍛冶師で。自分はリミットタウンで領主なんだけど。君は?」


 本当は初対面には失礼だろうけど個人情報を聞いてみた。


 「あーしは、傭兵団の出だ。団長が、お前も学をつけろってさ。半ば強引にこの学校に強制入学したんだ」

 「へえ。傭兵団か・・・どこのって聞いてもいい?」

 「いいよ。あーしの傭兵団は、西火の楽山(ヴォルテクス)だ。あんまし有名じゃねえけど、知ってる人は知ってるぞ」


 え!? 西火の楽山(ヴォルテクス)だって!?

 オレが次のリミットタウン防衛戦で協力してもらおうと思ってた所だ。


 「え。君。あそこの出なの」

 「ブラタン。知ってんのか?」

 「うん。あそこは有名じゃないか。お金はちょっと高いけど、任務成功率は他の傭兵団よりも高かったはず」


 彼らの実力は、上位の傭兵団に食い込む。

 下手をしたら、各国の騎士団や戦士団にも引けを取らない。


 「へえ。よく知ってんな。その通りだぜ。あーしの所の本隊は、めっちゃ高い。結構な額を積まねえと、依頼を引き受けてくんないよ。それはさ、ドケチな副団長がいるからさ」

 「そうなんだ」


 えっと、ゲーム時代だけど、四人くらいを雇って10万だったはず。

 防衛一日の為に10万。

 痛い出費だけど、最初の防衛で、誰も死なせないためには、これくらいの出費が必要なんだ。


 「まあ、なんかあったら、あーしが口利いてもいいぜ。ドケチじゃない団長に聞いてみるよ」

 「え。いいの」


 それは助かる。

 最初の防衛の時に協力して欲しいんだよな。


 「あんたの町。ぶっ壊れてるんだもんな。魔物被害って出そうじゃねえか?」

 「まあそうなんだよね。そこが悩んでてさ。いつ襲われてもおかしくないんだよね」

 「だろ。そういう所に支援をしたがるのが、お人好しアホ団長だからさ。聞いてみるだけ聞いてみようか?」

 「ほんとう! 助かるよ」


 嬉しさのあまりオレが彼女の手を握ると。


 「あ。ま。まあ、そんなに期待すんなよ。やってみるだけだかんな」


 ちょっと照れて、顔を逸らした。

 さっきまで見つめてくれていたのに、こっちを見なくなった。


 「うん。でもありがとう!」

 「あ。ああ。どういたしまして」


 少し顔を赤らめて、彼女は答えてくれた。


 素直そうでいい子みたいだ。

 こういう子を見逃していたのか。

 オレは馬鹿だな。

 もっと注意深くゲームをするべきだったんだ。

 Tier表ばかりに目を向けすぎてたんだよ。

 たぶんこれは、オレだけじゃない。

 全ゲーマーがモブを注意して見てなかったんだ。

 攻略サイトにも、そういう情報はなかったもんな。


 もしかしたら、リミットタウンってのは、全ての人物。全ての事柄に注意深く生きていく物語なのかもしれない。

 それはまるで本物の人生のように・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。