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「たしかに。ですが今、賭けを下りれば行く末はこのようなものですよ」
暁童子の胸の鏡がキラリと光りました。するとまた風景が一変したのです。
薄暗い粗末な草ぶき屋根の小屋の中、ダツバ法師はぼろを着てそこにいました。
「これが私の行く末か」
「はい。誰のお抱えでも無い野良の陰陽師。今ここで南条様のもとを去れば、いらぬ疑念を持たれ追っ手を向けられるでしょう。人里離れた山奥にでも隠れ住むしかありません」
「もう貧乏暮らしは飽き飽きだ。陰陽師が金を儲け地位をつかむには争いごとに首を突っ込むほかない。わかっていたことだ。…六根清浄!」
ダツバ法師は手で印を結んで気合いを発しました。暁童子が作り出していた幻が陽炎の様に揺らぎ、消えていきます。そして、彼らはもとの南条の屋敷の部屋にいました。
「さすがは先生。僕の妖術を消し飛ばしました」
暁童子は動じることも無く言いました。
「伸るか反るか、虎穴には入らずんば虎児を得ず、だ」
ダツバ法師はパチンと指を鳴らしました。暁童子に刺股を向けていた式神達が煙に包まれ、もとの紙人形に戻りふわふわと空中を漂い、床に落ちました。
「私も妙な妖怪に魅入られたものだ」
ダツバ法師は座り込んで
「次に何をしたらいい?」
と暁童子に聞きました。
暁童子は胸の鏡を両手で大切そうに撫でながら
「打つべき手はもう打っております。あとは成り行きに任せれば良いだけです。先ほども申しましたとおり、ぜひとも南条様にもお祈りをして頂きましょう。そうすれば鏡はもっともっと美しく輝きます」
とうっとりした表情で言うのでした。
第13話 おわり




