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ダツバ法師はため息をつきながら立ち上がると、懐に手を入れて小さい人の形に切られた紙人形を三枚取り出しました。ダツバ法師は呪文を唱えると紙人形を目の前に放り投げました。すると紙人形たちはぼわりと煙をたてながら変化して、大きな体の兵となって現れたのです。兵たちは体は人でしたが頭がそれぞれ牛、馬、豚、という姿で、三人とも刺股を手にしています。それは陰陽師の使う式神でした。
「せっかくここまで上りつめたのに。まさかまた田舎のしがない拝み屋に戻りたいのですか?」
暁童子は微笑を崩すことなく言いました。
「もし失敗したら私はどうなる?たかだか陰陽師、武家でもなければ貴族でもない。簡単に首を切られるだろう」
式神たちは刺叉を突き出しながらじりじりと暁童子を囲みました。
「先生は僕と契約したではありませんか」
暁童子は唇の両端をつり上げました。彼の胸につるされた鏡がキラリと反射させた光がダツバ法師の目に入りました。するとダツバ法師の視界、目に映る風景が変わりました。ダツバ法師は南条の屋敷では無く、大きくて立派な寺院の本堂の中にいる自分を発見しました。上座に立つダツバ法師に向かって大勢の弟子達が座してうやうやしく頭を下げています。ダツバ法師の横に暁童子が立っていました。
「おのれ。陰陽師である私にこんな幻を」
ダツバ法師は憎々しげに言いました。
「先生はこれが欲しいのですよね」
「命あっての物種だ」




