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同じ頃、南条の屋敷。
庭の見える部屋にダツバ法師と弟子の暁童子がいました。
「結局鬼は見つからなかったのですね」
暁童子が言いました。
「ああ。今急いで人相書きが書かれているらしい。これから関所や奉行所に手配がかけられるからそのうち捕まるだろう」
ダツバ法師が言いました。
「そうでしょうか。あれはなかなか手強い相手のようですが」
「手強い?暁、お前なにか知っておるのか?」
「そのように感じただけです」
「ふむう」
ダツバ法師は腕を組んで考え込みました。暁童子は涼やかな顔で微笑んでいます。
「お前の言うとおり、南条様の野心をくすぐって取り入り、ここまできた。今や幕府が軍を動かそうかという局面だ。事が大きすぎる。このまま進んで良いものやら・・・」
「もちろんです。南条様を覇者へと導くことで先生は陰陽師の大家として歴史に名を残すでしょう」
「南条様を操っているのが私で、私を操っているのがお前というわけだ」
「ダツバ先生の祈りで僕の鏡は輝いています。僕の力は捧げられた祈りによって強まるのです。必ずや先生の野望を叶えてみせます。そうだ。南条様にも祈って貰いましょう。戦勝祈願だと言って」
「とんでもない妖怪め。私や南条様に祈らせて、お前はなにを目論んでおるんだ?」
「なにも。ただ、僕の手伝いを受けて誰かがなしえたことは、僕にとって花なのです。僕はきれいな花を咲かせたいだけ」
「…おぬしは、危険だ」




