74/177
12-3
「えっ?」
シェリーはビックリ顔で演奏を止めました。着物の女性はすうっと煙のように空中に姿を消してしまいました。
「どうしたの?」
桃太郎がシェリーに聞きました。
シェリーは驚いた顔のままナクラを見つめました。そしてオルガンを離れると、ナクラの近くに座って、彼の頭を覆う頭巾を指差しました。
「うっ…これは…」
ナクラはどうするか迷ったのですが、
「ここは信じるしかない」
と自分に言い聞かせながら頭の布を取りました。
「俺、鬼なんだ」
ナクラの頭、小さな角が二本、生えていました。
「鬼は西の方にある鬼ヶ島に住んでいると聞いたことがありますが、こうしてお会いするのは初めてです」
コペルニクスが言いました。
「鬼ごっこする!?」
べルナドットはうずうずしながら聞きました。
「ごっこ、じゃなくて本当に鬼だぜ。こりゃ珍しいや」
アレキサンダーが言いました。
シェリーは困ったような、戸惑ったような顔をしながら、モジモジと体をよじらせました。そして
「ナクラちゃん。わたし、鬼の角が欲しい。わたしの病気を治すために」
と言いました。
外はもう暗くなっています。空にはお月様が登っていました。




