10-2
「桃ちゃん、おはよう」
シェリーが言いました。
桃太郎はベルナドットの頭を一つ撫でてから体を起こし、シェリーに
「おはよう」
と返事しました。
桃太郎たちは朝ご飯を食べ終えると、山小屋を出て山の麓のお寺に行きました。
お寺では和尚さんの喜一がご本尊にお経をあげていました。喜一はお寺の本堂に誰かがやって来る気配に気づいていましたが、お経を続けました。
「ごめんくださーい」
本堂の入り口で、シェリーが喜一に言いました。
喜一はお経を止めて桃太郎たちのところに行くと
「おや。たぶん君は、ウィリアム博士の娘さんだね?」
とシェリーに言いました。
「はい。わたし、シェリーです」
シェリーは名乗りました。
「どうしてシェリーは桃太郎たちと一緒にいるのかな」
喜一が聞きました。
「桃ちゃんたちがわたしのオルガンを泥棒したから、わたしがみんなの音楽の先生になってあげているのです」
「ふむ。それは不思議な関係だね」
喜一は優しい笑顔でシェリーを見つめました。
「パパとママはシェリーが桃太郎たちと遊んでいるのを知っているのかな?」
「いいえ。パパとママには、わたしの姿が見えないし声も聞こえないから…」
シェリーは悲しそうな顔で言いました。喜一は小さく頷いて
「パパとママはシェリーにたくさん友達が出来たことを知ったらとても喜ぶだろう。パパとママに教えてあげるといい」
と言いました。シェリーは笑顔で
「はい。いつかきっと!」
と言いました。




