49/177
8-5
「そうなんだね。私、風がわからないんだ」
とシェリーが言いました。
「そうか…」
と桃太郎は寂しそうな顔になりました。
桃太郎はシェリーを楽しませようと考えを巡らせて、べルナドットの右の頬の肉を引っ張ってみせました。べルナドットの頬はびよーんと伸びました。
「シェリー。べルナドットのほっぺたはこんなに伸びるのだ」
と桃太郎は言いました。
「やめれ」
とべルナドットは言いました。
「本当だ。すっごい伸びる」
とシェリーもべルナドットの左の頬の肉を引っ張って伸ばしました。
「やめれー!」
べルナドットは怒りました。
シェリーは吹き出しながら
「ごめんごめん!」
とベルナドットに謝りました。
心地よい風がまた吹いて駆け抜けていきました。木々も草花も風に揺れるのですが、シェリーの髪は風にそよぐことはありませんでした。桃太郎はそれに気づいて少し悲しい気持ちになるのでした。
第8話 おわり




