第7話 『さまよえるフルーツ、めまい。そして少女は眠り姫』
朝、山小屋の中。
桃太郎は夢を見ていました。
桃太郎は幼い子供の頃の姿で村の道ばたにたたずんでいます。桃太郎の横を村人たちが通り過ぎていきました。村人たちの顔は靄がかかって見えません。ですが口元だけは、笑っているのがわかります。彼らは一人ぼっちではなく、父親、母親、そして子供、と家族揃っておしゃべりし笑い合いながら歩いていました。
ひとりぼっちなのは桃太郎だけです。
桃太郎は行き交う家族達をキョロキョロと見回していましたが、やがてうつむいてしまいました。
「桃太郎。どこにいるのですか?」
遠くから女の人の声が聞こえました。
桃太郎はあたりを見回しました。道の向こうに、美しい桃色の着物を着た長い髪の女性が立っています。彼女の顔も郷の人たちと同じように靄がかかってはっきりとは見えません。ですが桃太郎にはわかりました。彼女は桃太郎にとって特別な人なのです。
女性は桃太郎のもとまで来ると
「ああ、桃太郎。許してください。事情があってお前をすぐには迎えに来られなかったのです」
と言いました。
桃太郎は安心してとてもうれしい気持ちになりました。ですがなんだか悔しい気持ちもあって、頬をぶくっと膨らませて女性にそっぽを向いたのです。
「あらあら。桃太郎は拗ねてしまいましたね。お詫びに何十回も何百回も抱きしめてあげましょう。だってあなたは甘えん坊ですものね」
女性は優しく桃太郎を抱きしめました。
桃太郎は温かくて柔らかい感触に包まれながら笑顔になりました。
「おはよー!」
シェリーの元気な声で桃太郎は目を覚ましました。桃太郎は起き上がり、動物たちと一緒に
「おはよう」
とシェリーに返事をしました。




