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「あたい、キイナ」
キイナは目つきの鋭い女の子でした。表情も怒ったようにこわばっています。妖怪の生け贄にされようとしているので無理もありません。キイナは桃太郎とナクラを見比べながら
「頼むよ!蛇の妖怪をやっつけるか、あたいと一緒に駆け落ちしておくれ!」
キイナの後ろにいる夫婦がびっくりしました。キイナの両親です。まさか娘が駆け落ちの提案をするだなんて思ってもいなかったのです。
キイナは続けました。
「こんな田舎を出て、大きな町で暮らそうよ!都会でキラキラしたアーバンライフを送るのがあたいの夢。あたい縫い物も料理もこなす働き者、旦那様にはおしとやか、良妻賢母まちがいなしだ!あたいのようないい女を見逃す手があるのかい!?」
キイナは拳を握りしめました。
桃太郎は困惑してシェリーと顔を見合わせました。ナクラは動じること無く
「妖怪退治の方を請け負う」
と答えました。
キイナは腕を組んでうーんと考え込みながら
「あー、そっちチョイスしちゃうかー、物事がわかんない男の子たちだなー。もうまさにお子様ね。うん、お子様、お子様」
と悪態をつきました。そしてしゃがみ込んで地面に向かって顔を伏せながら
「わかりやすく言ったつもりだけど、わっかんないかなぁ!?あたいと駆け落ちが正解って、わっかんないかなぁーッ!?」
と叫びました。そんなキイナを無視してナクラが
「俺たちは先を急いでいる。さっさと済ませたい。妖怪はどこにいるのだ?」
と葦名に聞きました。
「山を登ったところにある神社です。夜になると妖怪は現れます」
と葦名は説明を始めました。




