19-4
「お戯れを」
典成が経行に小言を言いました。
「面白い見世物であった。南条殿、陰陽師、礼を言うぞ。僧兵どももご苦労であった。ではカラクリ人形を回収したら出発する」
経行は武将達に告げました。武将達は自分たちの部隊に戻っていきます。
「よう手を出さなかったな。上様に怪我でもさせたらおおごとだったぞ」
南条はダツバ法師に言いました。
「それが・・・私が術を止める間もなかったので、本当にただ敗れただけなのです」
ダツバ法師はバツの悪そうな顔で言いました。
「ふん。将軍になっても変わらんな、あの男」
南条はちらりと経行を睨んでからこの場を後にするのでした。
昼前、内陸の街道。
奥方は桃太郎たちに少し遅れて音もなく彼らの後をついて行きました。彼女は桃太郎たちの背中を見ながら、昔のことを思い出していました。
それは桃太郎がまだ幼い子供の頃でした。桃太郎の育った村、田畑の間のあぜ道に桃太郎は村の子供たちといました。
村の子供たちは桃太郎を取り囲んで
「よそ者の桃太郎」「みなしごの桃太郎」「捨て子の桃太郎」
と悪口を言って馬鹿にしました。
桃太郎はそれを聞いて口を結んで目を怒らせました。そして素早い動きで意地悪な子供達に走り寄ると、身を地面に横たえながら相手の足を蹴るアリキックを何発もお見舞いしました。
悲鳴を上げる村の子供達を、桃太郎はさらに攻撃しました。体を起こすと袈裟切りチョップやローリングソバットやジャンピングヒップアタックなどで子供達を打ち倒していきました。
「とんでもねえ乱暴もんだ」「お前はけだものの子だ!」「いや、鬼の子だ!」
子供達は倒れながらも桃太郎に悪態をつきました。
桃太郎は悔しくて走って立ち去りました。
桃太郎は村の外れを一人で歩きました。
「僕はあいつらみたいな田舎者とは違うんだ。きっと立派な武士の家の子供なんだ」
桃太郎は自分に言い聞かせるように力強く言いました。ですが次の瞬間には歩みを止めて、うつむいてしまいました。




