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「上様があのように仰せだ。披露いたせ」
南条が言いました。
ダツバ法師は経行に深々と頭を下げてから進み出て、法衣の袖から紙人形三枚を取り出すと口元に持っていき呪文を吹き込みました。紙人形はそれぞれ馬頭、牛頭、豚頭の兵に変化しました。
武将達が驚きの声を上げます。経行はさほど驚きもせずに
「これはめずらしい。その馬頭どもはどれほど強いのだろう。典成とやりあってみるか」
と背後の典成に声をかけました。
「拙者が出るまでもなかろうかと。弟子どもを相手させましょう」
典成は離れた場所に待機していた僧兵達を呼び寄せました。こうして、ダツバ法師の式神三体対僧兵三人の試合が行われました。
式神達は刺股を、僧兵達は金剛城で戦いました。お互いに打ったり押したり、一進一退の攻防で、すぐには勝負はつきませんでした。やがて、一人の僧兵が打ち倒されました。直後には馬頭の式神が僧兵の金剛城に体を突き破られ、術が解けて紙人形に戻ってしまいました。二対二となったところで、誰しもが予想しない展開が起こりました。
経行が不意に立ち上がって試合の場にすっと移動したのです。典成は片眉をクイッとあげて妙な顔をしました。他の武将たちや家来達はあっと驚きましたが、突然のことだったので次の言葉がでません。経行は僧兵達の後ろに迫ると彼らの肩に手を置いて
「わしが代わる」
と彼らを止めて前に出ました。式神達が経行に向かって刺股を構えた次の瞬間、経行は素早く前に踏み込んで刀を横薙ぎに一閃しました。式神達は反応が間に合わず、二体とも胴体を真っ二つに切られ、紙にもどってヒラヒラと落ちていきました。経行は斬ったと同時に刀を鞘にしまいスタスタと自分の席に戻っていっていました。




