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「上様のそばにおるのが千晃坊典成だ」
「先日あの方のお弟子さんに会いましたよ。なるほど、いかにも威風堂々たる兵といったお姿ですな。たしかあの方には妙な通り名があったような、そうそう、壊れ橋の赤法師とか」
「その名を口にするな。寒気がする」
「しかし本当なのですかね。一人で何十人も切り倒して、雨でも流れ落ちないほどの返り血で全身赤く染まったというのは」
「俺はあの時戦場にいたんだ。俺がこうして生きておるのは、奴に背中を見せて逃げたからだ。勇気を持って立ち向かった同僚はみんな奴に斬り殺されたよ」
「なんと・・・」
こそこそと話す佐々とダツバ法師でしたが、経行が不意に
「南条殿」
と彼らの主君を呼んだので話すのを止めました。
「何でしょう上様」
南条が応えました。
「南条殿のところにたいそうな陰陽師がいるそうだな。陰陽師の使う式神とやらを見てみたい」
「こちらのダツバ法師でございますね」
南条はダツバ法師に
「上様がご所望だ。できるか?」
と尋ねました。
「私のごときものが将軍様の御前で術を披露するなど、恐れ多いことで」
ダツバ法師は緊張した面持ちで応えました。
「構わん。是非とも見てみたい」
経行は言いました。




