第19話 『ラミアの婚約』
昼、海沿いの街道。
幕府軍は歩みを止め休憩をしています。軍隊の列の中央辺りの街道のわきに経行や武将達が集まっていました。街道から離れた草地にフランケンシュタインが準備していて、これからその性能を経行達に見せようとしているのです。フランケンシュタインの行く手には細い丸太で組まれた柵や木箱などが置かれています。
「初めてくれ」
経行が言うと、後ろに控える兵士が太鼓を一つ鳴らしました。
合図を受けたウィリアム博士はフランケンシュタインを発進させました。フランケンシュタインは行く手を阻む柵に体当たりしてこれを破壊しました。将軍達から歓声が起こります。さらにフランケンシュタインは突き進み、二つ積み重ねられた木箱に向かって拳を振り下ろしました。木箱は割られバラバラになって飛び散りました。そしてフランケンシュタインは経行達の近くまで蒸気を吹き上げながら突進すると、最後にそこに置かれていた荷台を両手で挟み込んで器用に持ち上げると、思い切り後方に投げて見せたのです。荷台は向こうに飛んで、地面に落ちると粉々になりました。
「これはとんでもない」「おそろしい」「暴れ馬のごとき代物だ」
武将やそのお付きの家来達がザワザワと騒ぎました。
フランケンシュタインの成果に那須は悔しそうに唇を結んで
「しかし、あのような物に頼っては武家の名誉が」
とこぼしました。経行はなだめるように
「戦はまず勝たねばならん。ウィリアムのカラクリ人形は敵をひるませるに十分だろう。もののふ達の出番はその後だな」
と言いました。
フランケンシュタインを驚きの表情で見つめる南条の後ろに佐々木とダツバ法師はいました。佐々木は経行の背後にいる典成の姿に嫌な顔をしました。佐々木の様子に気付いたダツバ法師は
「佐々木様、どうなさいました?」
と尋ねました。




