18-8
「さようでしたか。ですが南条様には私がついておりますゆえどうぞご安心くだされ」
ダツバ法師は丁寧におじぎをしました。
「そちらの子供は?」
僧兵は暁童子をじろりと見つめました。
「これは私の弟子でございます」
ダツバ法師が説明すると、暁童子は僧兵にぺこりとおじぎをしました。
僧兵は暁童子が胸に吊している鏡に目をとめましたが、何も言わずにくるりと背を向けて
「しからば、拙僧は見回りをせねばならんのでこれにて」
と歩き出しました。
ダツバ法師はふところから紙人形を取り出しました。そして去って行く僧兵の背中に向けて紙人形を投げようとしたのですが、暁童子がダツバ法師の袖をつかんで止めました。
「あちらにもう一人隠れています。あの二階建ての小窓。僕たちを監視しているみたいですね」
暁童子は横目で数軒先の建物を見ました。ダツバ法師は監視者にさとられないようにちらりとだけそちらを見ました。暁童子が教えたその建物の二階の窓、わずかに人の頭の影らしきものが端っこに見えました。
「お前のことがばれたやもしれんぞ」
ダツバ法師が言いました。
「だとしても今は何もできないでしょう。だってダツバ法師は南条様にお仕えしているのですから」
僧兵は大通りに出ると、大勢の兵隊や町民が行き交う中を歩いて行きました。
町の中のひときわ大きな、門に囲まれ庭も備えたお屋敷に将軍の経行はいました。経行は庭で木刀を構えていました。神経を集中させながら木刀を上段に持ち上げ、すっと型を確かめるようにゆっくり振り下ろすと、またすぐに上段に構え直しました。そして次に中段に構えゆっくり突きをして、引いた木刀を今度は下段に構えてピタリと動きを止めました。




