第16話 『とおりゃんせ』
朝、日がすっかり上って人々が仕事に精を出し始める時間。都から西に向かう街道を軍隊が列をなして進んでいます。
馬上の南条に、隣を歩いている佐々木が
「南条様、よろしいですか?」
と声を掛けました。
「なんじゃ知重」
「南条様がおそばに置いている陰陽師ですが、あのような者をいつまでも用いられるのはいかがなものでしょうか」
「知重。ワシのやり方に口出しをするか」
「素性あやしく何を考えているか分からん男です。あやつが連れている子供も正体がしれません。狐狸のたぐいではありますまいか」
「なにをばかな。陰陽師を名乗ってはいるが、結局のところ出世が望みの欲深い俗人だ。だが小賢しい知恵がきく」
「武家のやり方ではありませんな」
「ひかえろ。ワシはこの一手にかけておる」
南条は苦い顔で佐々木を睨みました。彼らの後方、兵士たちに紛れてダツバ法師が暁童子を連れて歩いています。そしてこの軍隊の前方には護衛に囲まれて将軍の経行も馬上の人となっていました。経行の背後に新田が馬を進ませています。ウィリアム博士は軍隊の真ん中あたり、北畠と一緒にいました。北畠とウィリアム博士のすぐ後ろ、大きな荷車が二頭の馬に引かれています。荷車には布を掛けられたフランケンシュタインが積まれていました。
軍隊は街道を南西に、粛々と進んで行くのでした。
一方、内陸の街道。
桃太郎たちの前方に町が見えました。街道は家々の間を伸びて、その奥にある大きな門によって向こうと遮られています。
関所です。




