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「ダツバ先生は西の国にある霊山で修行をして法力を手に入れたそうです。魑魅魍魎を調伏し人々を安んじることを役目としています」
「そんなお決まりの口上などいらん。南条様のもとに来る前はどこでどんなことをしておったのだ。悪霊や流行病の噂を自分で立てては魔除けの札を売りつけるような、拝み屋崩れの者ではなかったか」
「うふふ」
暁童子は吹き出しました。
「なにがおかしい?」
「だとしたら今でも拝み屋崩れかもしれませんね」
「なんだと!?」
暁童子の視線が佐々木の瞳に飛び込みました。こわばった表情を見せていた佐々木が
「あっ」
と声を上げて固まったかと思うと、直後には思考を失ったぼんやり顔になってしまいました。
佐々木は幻を見ていました。彼は西にある自分の領地の屋敷で、家来の和田から
「この度の戦で大変な武功を上げられ、領地を村五つも加増、まことにおめでとうございます」
と祝いの言葉をかけられているのです。家の者達が男も女も忙しそうに動き回り、ご馳走や酒の準備に追われています。凱旋帰国した佐々木の宴の準備に違いありません。
「命がけで働いた甲斐があったというものだ」
佐々木は答えました。家の者たちは佐々木を手を叩き褒め称えます。佐々木はいよいよ得意になって座敷の一番奥にもうけられた座布団の上に腰を下ろすと
「さあさあ、みんな好きなだけ飲み食いしてくれ。遠慮はいらん。なにせ領地が倍になったのだ。倉も倍に増やさねばならんな!」
と高笑いしました。家の者達は佐々木におべっかを使い、機嫌を取りました。




