第13話:迫りくる暗雲
ジュリアンの管轄下で、村々は略奪されなくなり、医者の診療も受けられるようになった。この好評は瞬く間に広まり、多くの村が自主的に管轄下への編入を志願するようになった。やがてこの動きは軍の上層部にまで届いた。
国境沿いの十数村が連合を組むことは、それ自体が極めて緊密で広大な情報網となり得た。各村はジュリアンの信頼と承認を得るために、自らが有用だと判断した情報を頻繁に提供した。そのほとんどは価値のない誤報か、帝国軍がすでに把握している一般的な内容だったが、中にはたまに戦況を左右する重要な情報も含まれていた。
洞察力に優れたジュリアンは、情報分析に類いまれな才能を発揮した。大量の無価値な情報の山から、価値のある情報を見つけ出すことができたのである。ある時、彼は複数の村から寄せられた類似した情報をもとに、帝国陸軍司令官を狙った車爆弾による暗殺計画があることを推理し、事件の二日前にその高級将官に通報した。その結果、軍内部に潜んでいた敵のスパイを摘発し、まだ組み立てられていない爆弾の部品を押収することに成功した。
この功績により、軍の上層部はジュリアン下士官に注目し、行政面での支援を始めた。例えば、彼が女性軍医と夜間に無断で陣地を離脱したという告発や、敵対勢力の人物と関係が深すぎるという密告なども、上層部がすべて握りつぶし、いずれの告発も立件されなかった。
そして今、十数の村が同時にジュリアンの管轄下に入ることを要求したことで、軍内部の様々な既得権益者から激しい反発が起きた。しかし軍上層部は、この措置が情報活動を円滑に進める上で有益であると判断し、この取り決めを承認・支持した。さらにジュリアンは特例で中尉に昇格した。
ジュリアンはこれらの村を管轄下に置くと、すぐに各村の代表者と協議し、帝国陸軍の保護と引き換えに一定量の食料や物資を提供するという合意を取り付けた。ジュリアンはさらに、これらの食料や物資を軍内部の様々な既得権益者に分配することで、彼らの態度を180度変えさせた。強い反対から完全な支持へと転じたのである。この措置は事実上の「みかじめ料」ではあったが、新たな「みかじめ料」の負担が従来の略奪による損失よりも遥かに小さく、さらにジュリアンが交渉を通じて終始誠実な態度を示したことから、すべての関係者がこの新制度を心から歓迎した。
もちろん、カルボーニア州の反乱軍とその後ろ盾である南方共和国も、ジュリアンの動向を注視していた。彼らは詳細な調査を経て、ついにジュリアン中尉に対する暗殺計画を策定した。





