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ゆっくり話して●大佐の香り with 前日譚  作者: 香詠 Koei
『レクイエムの救済』(ゆっくり話して●前日譚)
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第7話:公平な取引

ジャックの同伴の下、ジュリアンと少年は敵の「拠点」へ向かって徒歩で進んだ。移動中、ジャックは終始、拳銃を少年に向けていた。これはジュリアンが事前にジャックに命じ、弾倉を抜き、薬室の弾も排莢させた空の銃だった。そして少年には、これは不意の襲撃を防ぐための偽装であり、人質役を演じてほしいと説明していた。少年は相手に悪意がないことを理解し、面白がって快く承知し、非常にリアルに演技した。


実のところ、ジャックは内心ひどく恐怖していた。一歩間違えれば軍紀違反で処分が下る行為であり、何より支援もないまま敵陣の奥深くへ進むなど、命を捨てるようなものだったからだ。


「本当にこれをやるのか? 危険すぎるんじゃないか?」ジャックが尋ねた。


「もし危険すぎると思うなら、今から戻ってもいい」

ジュリアンはジャックが離脱する気配を見せないのを確認して、続けた。

「俺はこの少年を自分の手で拠点まで送り届け、善意を示すことで、終わりのない襲撃を止めたいんだ。これ以上、人を殺し続けるのは本当に嫌なんだ。他にいい方法も思いつかない」


「お前は本当に狂ってるな。でも、そういう狂人、俺は好きだぜ」ジャックは笑いながら言った。


ジュリアンは少年の方に向き直り、尋ねた。「君の名前は?」


「カルロスです」少年は少し考えてから、逆に尋ねた。「あなたは?」


「ジュリアンだ。後ろにいるのはジャック」ジュリアンは迷わず答えた。


ジャックはジュリアンを見て、苦笑いしながら首を横に振ったが、何も言わなかった。


「カルロス、誰の指示で俺たちを襲ったんだ?」ジュリアンが尋ねた。三人は歩みを止めずに進み続けた。


「自分でやったんです。帝国兵どもが村に来ては略奪を繰り返すから、抵抗しなければ――」少年はそこで言いかけてやめた。相手の身分を思い出し、あまり過激なことを言って怒らせるわけにはいかなかったからだ。「……詳しいことはよく分かりません。村長に直接聞いてください」


三人は約15分歩き、荒れた村に到着した。少年が足を止めて言った。

「ここが俺の村です。」


バン!


遠くから突然銃声が響き、続いて女性の悲鳴が聞こえた。三人はすぐに音のした方へ走った。


一軒の家の前で、二人の帝国陸軍兵士が、一人の女性と一頭の子ブタを激しく奪い合っていた。


一人の兵士が拳銃を構え、女性が手を離そうとしないのを見て、銃口を彼女の頭に向け、今すぐ手を離せと怒鳴り散らしている。


「やめろ! 何をしている!」ジュリアンが鋭く一喝した。


二人の兵士はジュリアンとジャックを見て、まず一瞬固まり、次に敬礼した。彼らは第三小隊の所属で、現在は食糧調達の任務中であると告げ、そしてジュリアンとジャックがなぜここにいるのかを尋ねた。


入隊以来、ジュリアンが元々所属していた小隊も、現在指揮する小隊も、パトロール任務のみを担当していた。食料調達は他の「専門」部隊が担当しており、ジュリアンは調達とは狩猟か何らかの購入のことだと思い込んでいた。それが略奪のことだとは、これまで思いもしなかったのだ。


二人の兵士のうち、一人はジュリアンより階級が上の軍曹であり、もう一人は上等兵だった。しかし二人は一目で相手が「レクイエム」だと分かり、その名前に押されて自ら敬礼した。


ジュリアンも答礼を返した。彼はこの場で、相手より気勢で上回らなければ自分の立場が危うくなると理解していた。冷徹に言い放った。

「我々はパトロール任務に関する情報活動を行っている。お前たちは任務の妨害だ。直ちに立ち去れ」


「しかし、この村を他の小隊が担当しているとは聞いていませんが」軍曹が食い下がった。


「命令はこうだ。任務を妨害する者は、問答無用で射殺せよ。この村はこれから我が小隊の管理下に置く。異論は認めない」ジュリアンは極めて冷静かつ淡々と告げた。


相手はジュリアンが短期間で19人を殺めた「レクイエム」であることを知っていた。帝国陸軍の前線はそもそも管理が混乱しており、部隊間で縄張り争いが絶えなかった。さらに「情報活動」は軍内部のタブーであり、一般兵士が口出しできるものではなかった。二人は心の底では納得できなかったが、ブタを置いて、肩を落として立ち去るしかなかった。


女性はジュリアンにお礼を言おうとしたが、彼が同じ帝国陸軍の軍服を着ているのを見て、その言葉を飲み込んだ。ただ、呆然とジュリアンを見つめ、彼が何のためにここに来たのか理解できずにいた。


「カルロス、カレラはダレ?」女性が現地の方言で少年に尋ねた。


「さっき捕まったんだけど、身体検査をしたら放してくれて、それで村長に会いたいって言うから連れてきたんだ」少年はジュリアンたちにも分かる言語で応じた。


女性は、ジュリアンとジャックが帝国陸軍の軍服を着てはいるものの、見た目は悪人には見えず、カルロスにも危害を加えず、むしろ略奪に来た兵士たちを追い払ってくれたことから、警戒を解いて言った。

「なら、私についてきなさい」


***************


村長は70歳の老人だった。彼はジュリアンの来意を聞くと、静かに頷き、口を開いた。

「お前たちの兵隊は絶えず我々の食料や物資を奪っていく。我々は抵抗せざるを得ない。来月は種まきの時期だ。もし種モミまで奪われたら、我々は確実に餓死する」


「この村を我々が管理し、安全を確保します。提案ですが、我々が安全を保障する代わりに、村から食料を提供していただくのはどうでしょうか?」


「それはみかじめ料の変わり種に過ぎない。略奪と何が違うのか?」老人が言った。


「では、安全の保障に加えて、物資も提供するというのはどうでしょう? 等価交換として」


老人は少し考えてから言った。

「薬が必要だ。もし提供できるなら、公平な取引をしよう」


ジュリアンは交渉がようやく進展したことに喜び、さらに付け加えた。

「取引に加えて、我々は村の安全を守ります。しかし同時に、村側も国境パトロールへの襲撃をやめていただく必要があります」


「この期間中は、襲撃を控えるよう指示する。ただし、それはお前が約束を果たすかどうかにかかっている。万が一、まだ独断で襲撃する者がいるなら、『ビクトル村長が襲撃を禁じた』と言え。私の名を聞けば、大概の者は手を引くだろう。さあ、行け。一週間の猶予を与える。次に来るときは、アスピリンなどの常備薬を持ってこい。さもなければ、この取引は白紙に戻す」


「では、また来週」


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