第3話:敵を人間だと思うな
夜、ジャック二等兵がジュリアンを脇に引き寄せて言った。
「明日は俺が先頭を歩く番だ。ひとつだけ聞かせてくれ。もし今日と同じことが起きたら、俺はお前を信頼できるのか?」
ジュリアンは何と言えばいいのか分からず、ただ軽く頷いた。
ジャックはジュリアンがまだ臆しているように見えたので、尋ねた。
「お前の経験人数は何人だ?」
ジュリアンはまさかそんな質問をされるとは思わず、まず目を見開き、それから気まずそうに数秒間固まってから答えた。
「......一人だけだ。高校の時、初恋の相手だ」
「お前のルックスなら、絶対にたった一人なんてあり得ない。でも、俺が聞いてるのは性経験の人数じゃない。あっちの経験人数だ。」
「あっちの経験?」
ジャックは手のひらを首の前に当て、横に引く仕草をした。
ジュリアンはようやくジャックが何の経験について言っているのかを理解し、答えた。
「人を殺したことは一度もない。訓練を除けば、正式に入隊してまだ二日目で、敵を殺す機会すらなかった。それに、『殺すなかれ』は神の戒めだ」
「じゃあ、もし明日誰かが俺を襲おうとしたら、お前はその戒めを守り続けるのか? それともそいつを撃ち殺して、俺の命を救ってくれるのか?」
「それは……」
「実は、そんなに難しい選択じゃない。もしお前が撃たずに、そいつに俺を殺させたら、お前は見殺しにしたことになる。それは殺人と同じだ。それに、たとえお前が撃たなくても、他の隊員がいずれはそいつを射殺する。つまり、そいつは死ぬ運命にある。お前が撃つか撃たないかとは因果関係がない。だから、引き金を引くのは、人を殺すことではなく、人を救うことだ。でも、お前が撃たなければ、俺を殺したやつの間接的な共犯者になる」
「言いたいことは分かる。でも、本当にその手の経験がないんだ。正直に言うと、怖い」
「俺も正直に言うと、人を殺したことは一度もない。でも、入隊前は弁護士だったから、殺人に関する心理分析にはたくさん触れてきた。簡単に言うと、この恐怖を克服する一番直接的な方法は、敵を人間だと思わないことだ」
「人間だと思わない?」ジュリアンが聞き返した。
「そうだ。もともと命なんてないただの物体、あるいは、ただの虫ケラだと思え。ある物体や虫ケラが俺を襲おうとしたら、お前は俺を救うためにそいつを撃ち殺す。それだけのことだ。できるか?」
ジュリアンはしばらく考えてから、頷いた。
「はっきり口に出して言え。『できる』と。」
ジュリアンはそれを聞いて、すぐにジャックに言った。
「安心しろ。できる。」





