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ゆっくり話して●大佐の香り with 前日譚  作者: 香詠 Koei
『レクイエムの救済』(ゆっくり話して●前日譚)
82/93

序:地獄の抜け穴

神は人間に殺すなかれと命じ、殺す者の末は硫黄の燃える火の湖であるとはっきり示した。


一人を殺す罰が永遠に地獄で苦しむことだとするなら、一見公平で合理的に見えるこの制度の裏には、ぞっとするような抜け穴が隠されている。


二人目を殺すのは、タダなのだ。


二人目だけではない。三人目、四人目、五人目、いや、それ以上も、すべてタダである。なぜなら、最初の一人を殺した時点で、永遠に地獄に落ちるという代価はすでに全額支払われているからだ。その後、同じ過ちを繰り返しても、追加で罰せられることは何もない。


つまり、人は最初の一人を殺すという一線を越えた瞬間、大抵の場合、二度と戻れない道へと足を踏み入れることになる。


ジュリアンは20歳の時、入隊して本格的に戦場に足を踏み入れてから三日目に、その一線を越えてしまった。


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