本編最終話:もう誰にも私たちを引き離せない
ソフィーはひとしきり泣いた後、涙を拭い、二人の娘をまだ庭で遊ばせておいて、一人で家の中へ戻った。
彼女は自分の部屋のドアの前に歩いていった。大佐はもうこの世にいないと分かっていたけれど、過去三年間の毎日のノックと失望がすっかり習慣になっていたので、深く考えもせず、再びそのドアをノックした。
コンコン。
過去三年間の経験から、どんなに待っても絶対に誰もドアを開けてくれないと分かっていたので、彼女は数秒待ってから、ドアノブに手をかけ、自分でドアを開けようとした。
しかしその時、ドアが誰かに開けられた。目に飛び込んできたのは、大佐とまったく同じ姿をした幻だった。
その幻はソフィーを見るなり、何も言わずに、いきなり彼女を抱きしめ、貪るようにキスをした。ソフィーは普段からこれと全く同じ光景を、何度も想像していたので、一瞬、この唇の感触が現実なのか幻覚なのか区別がつかなかった。
しかし、これまでの数えきれない想像と比べると、今回のキスは明らかに非常にリアルだった。濡れた唇、遠慮を知らぬその舌、鼻から吐き出される温かい息、そして好き勝手に背中を撫で回す手――どれもこれまでの想像にはなかったものばかりだった。
(これはものすごくリアルな幻覚? それとも大佐、あなたの亡霊が私に最後の別れを告げに来たの?)
するとその「幻」がキスを止めて、何か言った。しかし、あまりに訛りが強すぎて、ソフィーにはまったく聞き取れなかった。
ソフィーは微笑んで言った。
「やっぱりあなただったんだ!」
彼女はようやく、目の前の男が幻でも亡霊でもなく、緊張するとひどい訛りが出てしまうあの「餡ちゃん」であると分かった。大佐がなぜ生き返ったかなんて、今は知る必要もなかった。
ソフィーは自分の体を大佐に強く押し付けた。今度は、大佐は何一つ抵抗しなかった。
一歩、
二歩、
三歩、
四歩、
五歩。
二人は完全に部屋の中に入った。しかしソフィーはまだ満足せず、大佐の足がベッドの端にぶつかって彼がそこに座るまで、押し続けた。
それからソフィーはベッドに座った大佐の体へと這い上がり、彼の太ももに跨ると、両足で彼の腰を絡め、後ろでロックをかけた。そして両手で大佐の頬を包み込んで言った。
「ねえ、ゆっくり話してくれない? 今から私たちには、あなたがゆっくり話すための……一生という時間があるんだから」
突然、大佐が立ち上がった。ソフィーはまるで木登りをするコアラのように、彼の身体に縋り付いたままだった。そして大佐はゆっくりと体を回転させ、ソフィーをそっとベッドの上に下ろした。
(大佐はこんなに力強いのに、決して私を痛めつけたりしない。)
ベッドに横たわったソフィーは、まだ両足で大佐の背中をロックしていた。大佐もベッドに上がり込んだ。彼はソフィーの両手をつかみ、彼女の頭の両側に押し付けて、逃げられないようにした。
二人は右手で、相手の左手の薬指にはめられた婚約指輪を確かめ合った。それから大佐は自分の額をソフィーの額にくっつけ、二組の瞳が至近距離で見つめ合い、互いに相手の吐く温かい息を感じ合った。
最後に、大佐は深呼吸を一つして、ソフィーの母国語で、三年以上も練習し続けてきたその言葉を口にした。
「Plus personne ne peut nous séparer.」
《愛する人へ贈る歌》
ソフィー、
♬ 知っているかい? 私はずっと君を、私のものにしたかった。初めて出会ったあの瞬間から、ずっとなんだ。
でも、私はそうしなかった。それは君を愛していないからじゃない。
むしろ、愛しすぎているからだ。
いつか、私は君のもとを去らなければならないと分かっていた。でも、その「いつか」が今日だとは、思わなかったんだ。
もしいつか、私が死んだことを知っても、どうか泣かないでくれ。私は君の涙に値しない。
なぜなら私は、君にキスするのにも言い訳が必要な、ただの臆病者だったんだから。♬
ジュリアン、
♪ ねえ、知ってる? あなたがくれたあのキスがあったから、私はこの孤独な歳月を生き抜くことができたの。
あなたがくれた真鍮の指輪は、どんな宝石よりもずっとずっと大切なものなの
あなたがくれた思い出は、私の生涯の宝物。あなたが教えてくれた、「 愛され女」の気持ち
もしあなたがもうこの世にいないのなら、どうか夢の中で私に告げて
夢の中であなたに会えなければ、私はずっと待ち続ける。あなたが迎えに来てくれるその日まで
あなたが帰ってきたら、どうか私たちの間に子宝を。そしてみんなで、この歌に音符を添えましょう ♪
(本編 完)
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