第73話:雨の中の別れ
正午十二時。
墓地では、小雨が降りしきる中、いくつかの家族がそれぞれの大切な人を悼んでいた。
目の前の一基の墓石は、とても新しく、とてもきれいだった。しかし、訪れているのはたった一人だけだった。その訪問者は、片手で傘を差し、もう一方の手で丁寧に周りの草を抜いている。
「ジェニー、十年間一緒にいてくれてありがとう。そして、ベルを私の人生に連れてきてくれて、本当にありがとう」
その訪問者こそ、大佐だった!
「約束する。必ずベルを見つけ出す。絶対に見つける」
「私はとても優しい女性を見つけた。名前はソフィーという。幼稚園の先生で、子供たちが大好きなんだ。彼女ならきっとベルをしっかり育ててくれるし、ベルも彼女のことを好きになるだろう。約束するよ、ベルを見つけたら、彼女たちを連れて、一緒に君に会いに来ると」
雨が次第に強くなってきた。しかし大佐は手を離し、傘を地面に落としてしまった。彼は雨に身を任せ、片膝をつき、両手を墓石の上に置いた。そして、亡き妻の名前を刻んだ場所にキスをした。
「私は今、フィリップという新しい名前を名乗っている。昔の名前は十二時間前に死んだ。でも、もし君が望むなら、これからもジュリアンと呼んでくれていい」
大佐は立ち上がった。彼の顔は濡れていたが、それが雨のせいなのか、涙のせいなのかは分からなかった。彼は真鍮の指輪をはめ、傘を拾い上げ、車を走らせてその場を後にした。





