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ゆっくり話して●大佐の香り with 前日譚  作者: 香詠 Koei
第四章 再会……できるかしら
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第72話:死刑は,既に執行されたのか?

大佐の死刑執行日までは、まだ四日も残っているはずだった。


しかしその日のお昼、新聞社が号外を発行した。戦犯であるジュリアン大佐の死刑が、無事に執行されたという知らせだった。


ソフィーはその新聞を手に持った。なぜだか、泣きたいのに、涙が出てこなかった。彼女は何度も何度も記事を読み返し、自分が読み間違えていないことを確かめた。はっきりとそう書いてあった。大佐が処刑された、と。


(まだ四日もあるはずじゃなかったの? どうしてこんな急に?)


ソフィーは大佐と共に過ごした八ヶ月の日々を、一つ一つ思い出した。

地獄のような状況での一目惚れ。

軍用外套に残されていた、彼の香り。

彼がかじったパン。

お姫様抱っこ。

別れまであと30秒の二人のファーストキス。

今も薬指にはめられた真鍮の婚約指輪。

そして机の引き出しの奥に眠っている、あの拳銃。


(拳銃……)


彼女は新聞をその場に投げ捨て、ゆっくりと家へ向かって歩き出した。魂を抜かれたかのように。


(餡ちゃん、待っていて。私たちは、もうすぐまた逢えるから)

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