第69話:少年兵たちの最期
大佐が検問所の反対側で仲間を待っていると、アンドレが近づいて言った。
「あなたと一緒にいた二人の少年兵に、ちょっと問題が起きてな。すまないが、一緒に来てくれないか?」
大佐は疑うことなく、アンドレについて行き、駐車場のような場所にやって来た。彼は雰囲気が少しおかしいと感じ、すぐに逃げ出そうとした。その時、遠くからフリッツの声が聞こえた。
「大佐、動くな。さもないと、こいつらの命はないぞ」
大佐は声のした方を見ると、二人の少年兵が縛られて地面に跪いており、その後ろに拳銃を構えたフリッツが立っていた。大佐はアンドレに視線を送ったが、彼は顔をそらして大佐の目から逃げた。
「何が望みだ?」大佐がフリッツに問いかけた。
「車に乗れ。さもないと、今すぐこいつらを殺す」
フリッツは傍らに停められた一台の車を指さした。
大佐は、もし車に乗れば、ほぼ九死一生で、もう二度とソフィーに会えなくなるだろうと分かっていた。しかし彼にとって、二人の少年兵の命は、自分の幸せよりもはるかに大切だった。たとえ罠だと分かっていても、彼はその罠に飛び込むことを選んだ。
「もし車に乗ったら、彼らを傷つけないと保証してくれるか?」
「もちろん問題ない。さあ、早く乗れ!」
大佐は深呼吸を二度して、ゆっくりと車のところへ歩いていった。フリッツに何度も少年兵たちを解放するよう念を押してから、車の中に入った。車内にいた者がすぐに大佐を縛り上げ、手錠をかけた。約一分後、車は走り去り、フリッツ、アンドレ、そして二人の少年兵が残された。
フリッツは車が確実に大佐を連れ去ったのを見届けると、バン! バン! と二発、少年兵たちの頭部を撃った。二人の少年兵は即座に死亡し、地面に倒れた。彼らがずっと大事に隠し持っていた「赤いボール」と「青いボール」が転がり出し、まだ温かい死体からだらだらと流れ出る血の海に、静かに浸かっていた。
「なぜジャックとハンスを殺したんだ!? 俺は彼らの親ともずっと知り合いなんだ。計画の中で、彼らを殺すなんて一言も言っていなかったぞ!」
「こいつらは全てを目撃した。生かしておけば潜在的な脅威になる。それに、こいつらはただの一般兵士だ。首に大した価値もない。殺しても損はあるまい」
アンドレは地面に倒れた二人の少年兵の遺体を見つめた。彼らの目はまだ見開かれたままで、なぜ自分がここで死ななければならなかったのか、理解できていないようだった。そしてフリッツを見ると、彼は拳銃を拭いているところだった。まるで、たった今二人を殺したことが何でもないかのように。
アンドレは突然、背筋に猛烈な悪寒が走るのを感じた。
この瞬間、彼は初めてフリッツの恐ろしさを実感した。なぜなら、彼こそがフリッツの全ての犯罪の「目撃者」だからだ。フリッツが今、彼を殺さないのは、新しい身分を手配するために彼が必要だからに過ぎない。もしその役割が終われば、次に消されるのは間違いなく自分だ。
「お前の言う通りだな」
アンドレは表面的にはフリッツに同意してみせた。しかし内心では、既に殺意が芽生えていた。
(この男を除かなければ、いずれ大禍になる!)
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二人の少女は野良犬の群れに追い詰められ、壁際で逃げ場を失っていた。突然、体が震えたせいか、彼女たちの「赤いボール」と「青いボール」がポケットから転がり落ちた。ボールは弾みながら遠くへ跳んでいき、野良犬たちはそれを見ると少女たちへの興味を失い、ボールを追いかけて走り去った。
二つのボールは、もう二度と戻ってこなかった。
少女たちは何か大切なものを失ってしまったような気がして、泣き出した。しかし彼女たちは知らなかった。
それはたった今、肉体を失い、魂だけになった二人の少年兵、ジャックとハンスが、最後に遺した力で最愛の恋人を守った姿だったのかもしれない、ということを。





