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ゆっくり話して/婚約者の死刑待ち  作者: 香詠 Koei
第四章 再会……できるかしら
62/70

第62話:彼の死刑執行は二週間後

【旧南国暦】

287年 ― 北方帝国は南方共和国に侵攻。全土を占領。

289年11月 ― ジュリアン大佐、救出作戦中にソフィーと出逢い。

290年6月 ― 複数の国々から成る西側解放連合は北方帝国を撃破。帝国軍は南国より大撤退。


【新南国暦】

1年 ― 南方共和国は復国。新南国暦を採用。

4年 ― 長年にわたる逮捕作戦と審問調査の末、帝国軍戦犯への追及が本格化。


***************************


新南国歴4年(大佐が去ってから、もう三年が過ぎていた。)


ある喫茶店で、ソフィーは二人の乳幼児を抱いていた。見たところ、上の子は二歳くらい、下の子は一歳ほどだろうか。彼女の隣には、一人の中年女性が座っていた。


ウェイターがソフィーに尋ねた。

「奧様、ご注文はお決まりですか?」


「友達が來てからでもいいですか?」

ソフィーが言うと、ウエイターは問題ないと答え、立ち去った。


ほどなく、一人の妊婦が大きなお腹を抱えてソフィーの前に歩み寄ってきた。それは、ジャッキーだった。


「フィーちゃん、いつもいつも、うちの可愛い息子たちの面倒を見てくれてありがとね」


ジャッキーはそう言うと、ソフィーから赤ん坊の一人を受け取り、隣に座っていた中年女性に渡した。

「お母さん、ちょっと抱っこしてて」

そして、もう一人の赤ん坊を自分の腕に抱いた。


「リオンは?」ジャッキーの母親が尋ねた。


「デパートで迷子になったみたい。探したけど見つからなくて」


「あの男を絶対に逃がしちゃだめだよ、前にも言ったでしょ。忘れたの?」


しばらくして、リオンがテーブルにやって來て、遅れたことを詫びた。彼は買い物袋から二着のベビー用サッカーウェアを取り出した。

「これ、限定版なんだ。これを着せたらきっと可愛いよ」


「あなたったら、息子たちのことしか頭にないのね」

ジャッキーが言うと、リオンは慌てて袋から美しいヘアピンを取り出し、すぐにジャッキーの髪をまとめてやった。ジャッキーは思わず夫に數回キスをした。まるでキツツキのように、とても仲睦まじかった。


料理が全て揃うと、ジャッキーはソフィーが左手の薬指に、まだ大佐の指輪を嵌めていることに気づいた。そして尋ねた。

「ねえ、あれからもう三年だよ? まだ、あの人を待ってるの?」


「私は彼の婚約者よ。彼が帰ってくるのを待つのは、当然だわ。だから、私はずっと待ち続けるわ」


ジャッキーはうなずいて賛成した。「大佐はいい人だから、きっと大丈夫よ」


それから、ソフィーはリオンに向かって言った。

「一人、見つけたわ。」


リオンの目つきが一瞬で恐ろしいものに変わり、怒りの炎を宿らせて言った。

「どこだ?」


「政府の新しい庁舎よ。彼は今、新政府で中堅の役人をやっている。」


リオンは怒りをあらわにして言った。「あの外道が、よりによって南国の新政府で役人をやっているだと? 世の中に正義はないのか?」


その時、一人の子供が近くで新聞を売っていた。ソフィーはその子が可愛かったので一部購入し、開いて見ると、一面に驚愕の記事が飛び込んできた。


見出しはこうだった。


「北方帝国軍戦犯、ジュリアン・シンクレア大佐、戦爭犯罪により二週間後に死刑執行」


記事の橫に添えられたモノクロ寫真を見て、ソフィーはその大佐が自分の婚約者であることを確信した。


(彼だ……彼はまだ生きている……でも……死刑……?)

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