第39話:ジャッキーとリオン、運命の出逢い
覆面の男はソフィーをしばらく見つめた後、どもりながら言った。
「き……君は……ソフィー、なのか?」
ソフィーは大佐の背中からゆっくりと大佐の横に移動し、大佐に当てられた刃物を時々気にしながら言った。「そうよ、私はマリーの友達のソフィー。マリーはいつもあなたのことを話してたけど、私たちは会ったことがなかったから、さっきは私のことわからなかったのね」
覆面の男はこう応じた。「怖がるな、俺が助けてやる。」そしてナイフを握る手をぐっと後ろに引き、大佐の体に勢いよく突き刺そうとする仕草をした。
「やめて――――っ!!!」
ソフィーはその様子を見て、すぐに大佐を後ろに押しのけ、自分の体を大佐の上に覆いかぶせた。大佐の体と刃物の間に立ったのだ。
幸い覆面の男の反応は素早く、刃先はソフィーの体から五センチも離れていないところでピタリと止まった。
大佐は我に返り、覆面の男が息を切らしている隙に、まず慌ててソフィーの背中を確認した。大丈夫だとわかると、彼女をぐいっと押しのけ、一人でナイフを構えて敵意むき出しの侵入者と向き合った。もしソフィーがいなければ、大佐の格闘術なら抵抗すれば勝ち目もあったかもしれない。しかし大佐は事態がエスカレートしてソフィーが傷つくのを恐れ、軽率に動けず、ただその場に立っているしかなかった。
「リオン……誤解なんだってば!」
ソフィーは時間を無駄にせず、すぐに言った。「どうか落ち着いて、私の話を聞いて、お願い」
リオンはソフィーへと目を向け、それから、大佐を見つめた。ナイフを握りしめた手は、さっきまでソフィーを刺しかけた位置に据えられたままだった。
「つまり、こいつが君を誘拐して、ここに監禁したんだろう?」
「違うの、大佐は私を助けてくれたの。私をここで安全に暮らさせてくれているのよ。」そして彼女はあの日起こったことと、なぜ自分が長期間ここに滞在しているのかを、リオンに詳しく説明した。
「それがこいつに言わされているんじゃないと、どうやって証明するんだ?」リオンはまだ完全に敵意を解いたわけではなかったが、その口調は明らかに軟化していた。
「大佐は私一人だけを助けたわけじゃないの。上の階にもう一人女の子がいるの。その子も大佐に助けられたのよ。彼女を証人として連れて来るわ。」
ソフィーは時間を無駄にしたくなく、リオンの気持ちが落ち着いている今、彼の了承を待たずにすぐに二階へと駆け上がった。階段の入り口で彼女は振り返って大佐を見ると、大佐は無言で、こっくりと小さく頷き、「安心していい」という合図を送った。
一分後、二人の少女が階段を駆け下りてきた。リオンはソフィーの隣にいる少女を見ると、そのまま彼女をじっと見つめ、他の二人には目もくれなかった。
するとジャッキーは自分の危険も顧みず、リオンの前に歩み寄り、ナイフを握る彼の手を両手でしっかりと掴み、彼の露わになった瞳を見つめて言った。
「ねえ、まずは、私の話を、ちょっと聞いてくれる?」
カランという音を立てて、ナイフが床に落ちた。





