第38話:招かれざる客は、私の知ってる人だった
「まずは、俺のほうを、振り返らせてもらえるだろうか」
大佐が背後にいる男に尋ねると、男は構わないという仕草をした。大佐はゆっくりと振り返り、正面からこの招かれざる客と向き合った。男は布で顔の下半分を隠し、瞳だけを露わにしていた。その目は燃え盛るような怒りに満ちていて、大佐にどこかで見覚えのある印象を与えた。
大佐は今、覆面の男とソフィーの間に立ち、両手を後ろに回してソフィーを抱き寄せながら、相手に尋ねた。
「頼む。俺の女は、放っておいてくれないか」
「彼女は傷つけないと約束する。だが、今はここから離すわけにはいかない。お前は今すぐドアの方に向かって歩け。三人で一緒に家の中に入るんだ」男の声は冷酷そのもので、感情の欠片も感じられなかった。そう言うと、男はナイフを大佐の腹に軽く押し当てた。刃先は皮膚に触れるか触れないかの危険な状態で、少しでも力を込めれば、大佐の腹は刃に貫かれるだろう。
「家の中にいるお年寄りと子供たちは傷つけないと約束してください」大佐は、こういう場での約束が何の拘束力もないことは分かっていたが、わざと要求を出した。対峙の主導権を握り、相手に自分の要求を飲む習慣を植え付けるためだ。
「家の中の誰であれ、手を出さないと約束する。もういいよ。さっさと家の中へ入れ」
三人が家の中に入ると、覆面の男はドアを閉めた。無駄話は一切せず、大佐に直接こう告げた。「今日、俺がここへ来た目的はただ一つ、妹の仇を討ちに来た」
大佐は聞いて数秒考えた後、こう言った。
「もう少しだけ、詳しく話してもらえないか」
覆面の男は深呼吸を一つして、大佐の腹に当てたナイフはそのままに、言った。「半年前、俺の妹のマリーと二人の友達が突然行方不明になった。その後、マリーともう一人の少女の遺体が発見された。二人には、凌辱された痕跡が残っていた。三人目の少女は今も見つかっていない。俺の得た情報によると、その事件はお前と二人の部下の仕業だ。だから今日、お前は死ななきゃ」
大佐の背後に庇われていたソフィーが突然驚きの声を上げた。「マリー……まさか、あなたはマリーのお兄さんの、リオンなの!?」





