第30話:三度目の夜、彼の部屋で寝ていたら、ついに見つかっちゃった
その夕方、お婆ちゃんはソフィーが台所で働いている隙に、大佐に尋ねた。
「ジェニーとベルちゃんのことを、もうフィーちゃんに話したのかい?」
「話そうとは思っているんですが、どう切り出せばいいかわからなくて。頃合いを見計らって、必ず。どうか、ご心配なく」
お婆ちゃんは大佐の肩に手を置いて言った。
「年寄りの言うことを信じなさい。早けりゃ早いほど、いいんだよ」
ソフィーが台所から出てくると、お婆ちゃんと大佐という珍しい組み合わせが話しているのを見て、不思議そうに尋ねた。
「何の話をしてたんですか?」
お婆ちゃんは笑った。
「なんでもないよ。みんな昔の話さ」
ふと、自分が完全にお邪魔虫なのだと悟ったお婆ちゃんは、すぐさま適当な用事をこしらえて、自室へと引き上げていった。
ソフィーは大佐を気遣って尋ねた。
「中将や他の人たちは、まだあなたを責めたりしてるの?」
「部隊では基本的に虚偽の告発だと判断された。おそらく何の処分もないだろう」
「誰かがまたあなたを傷つけようとするんじゃないか、とても心配よ」
「心配しなくていい。部隊では、それなりの声望もあって、さらなる昇進だってありうる。誰かの嫉妬による虚偽の告発だろう」
普段は部隊内で威厳に満ちた大佐だが、ソフィーの前ではいつも優しくて控えめだった。そのためソフィーは、大佐が誰に対しても子犬のようだと思い込んでいた。彼女だけは知らなかった。大佐を子犬のようにさせることこそが、最高レベルの「愛され特権」だということを。
真夜中、ソフィーの恋愛禁断症状が再発した。彼女はまた大佐の部屋をノックした。大佐がドアを開け、ソフィーが部屋に入る。二人とも何も言わなかった。
部屋の中で、ソフィーは慌てて言い訳をした。
「あ、あのね、私、あんたの証人になりに来たの。あんたが他の女性を家に連れ帰って……犯してないって、ちゃんと証言するために。だから......誤解しないでよね」
大佐は意地悪な笑みを浮かべ、両手をソフィーの肩に置き、彼女をぐいとベッドに押し倒した。そして見下ろすように言った。
「なるほど。では、もし今から君を犯したとしても、君は怖がらない、というわけだな? すべては、『合意の上』なのだから」
大佐は最初、ただソフィーをからかおうと思っただけだった。そして彼女が抵抗したら、その流れで手を引こうと思っていた。しかし、しばらく待っても、ソフィーはまったく抵抗しなかった。それどころか、彼女はギュッと目を閉じて、じっと動かなかった。この予想外の展開に、大佐は途方に暮れて、仕方なくソフィーを離した。
「遅いし、もう寝よう!」
ソフィーはそれを聞いて目を開けた。表情は少し気まずそうだった。ベッドの内側に這っていき、大佐に背を向けて、何も言わなかった。
大佐は予備の外套を取り出して真ん中に置き、自分もベッドに上がって寝た。彼とて、本音の奥底では、予備の外套で二人の間を遮りたくなかった。しかし、正式に告白する前は、この外套がソフィーへの敬意の表れだと思っていた。
今夜の大佐はこれまでよりも大胆だった。なんとソフィーの腰の辺りに手を置いて、そっと揉み始めた。しかし、ソフィーからはなかなか反応がない。むしろ、かすかにすすり泣く声が聞こえてきた。自分のさっきの乱暴な振る舞いでソフィーを怖がらせてしまったと思い、大佐はすぐに謝った。二度とこんなことはしないと。すると、ソフィーがゆっくりと寝返りを打った。顔には意地悪な笑みと、「私の勝ち」という表情が浮かんでいた。大佐は、自分が編み出した技でやられるとは夢にも思わなかった。しかし、ソフィーが自分のことを怒っていないとわかって安心した。
コンコンコン。
ベッドで寝ていた二人はノックの音を聞いてびっくりした。しかし大佐はすぐに落ち着いて尋ねた。
「誰だ?」
「私だ」お爺ちゃんだった。
大佐はすぐに起き上がり、ソフィーに言った。
「怖がらなくていい。何があっても、私がちゃんと責任を取るから」
ソフィーは軽く笑い、大佐に早くドアを開けるよう、目で合図した。しかし心の中では、こんな感じだった。
(まだ責任を取るようなことは何もしてないくせに!)
大佐はドアを少しだけ開けて尋ねた。
「何か、私にできることは?」
お爺ちゃんは単刀直入に言った。
「情報が入った。遊撃隊のほうで、誰かがお前の身上を調査しているらしい。極めて緊急の事態だから、すぐにお前に知らせなければならないと思って、夜中に邪魔したんだ」
ソフィーはお爺ちゃんの言葉を聞いて、驚きのあまり思わず「あっ」と声を出してしまった。
お爺ちゃんが尋ねた。
「何の音だ?」
「お、恐らく……ネズミ、です」
「なんと、二階のネズミが、この部屋に引っ越してきたのか?」お爺ちゃんは笑いながら尋ねた。
「は、はい……どうやら、そうみたいです」
「じゃあ、私はこれで失礼する。邪魔して済まなかった」
お爺ちゃんは立ち去ろうとして、二歩ほど歩いてから立ち止まった。振り返って大佐に向けてこう言った。
「ネズミには優しくするんだぞ、わかってるな?」





