はじめまして。ドーナッツさん
あっくんとのりちゃんが卒業した朝
旅館のおばさんから
「新しい人が、来るよ」と。
しかも、同じ中学の同級生だと。
私は、名前を聞いてテンションが上がった。
中学3年生の時、仲良しだったTちゃんだったからだ。
Tちゃんは、目がクリッとして、背も高く、スタイルのいい、男子にもてる子だった。
なにしろ、宿泊所にいる回りの子達はみんな2人1組できていて、1人なのは私
くらい。
私だって友達を誘ったが、進学するから今はいらないとか、地元の教習所に行くとか、なかなかタイミングが合わなく、やむおえず1人なのだ。
ここの教習所は県外の子を優先して車の授業を受けられるから早く免許証が取れるから、私は父の進めでここに来たのだ。
Tちゃんが入所した日から、いっきに宿泊所にも女の子達が増えた。
兵庫県宝塚市から来た、2人組。
私と同じ歳。2人ともこの春から短大生。2人とも肩にかかるソバージュを耳横の髪を後ろでバレッタでとめていた。お嬢様風の物静かな関西弁。
AちゃんとUちゃん。
またある2人は、大阪市内から
この子達も、私と同じ歳。
2人は遊び人風で、2人ともワンレングスのソバージュ。ロングの方はRちゃん。スチュワーデスになりたいとか。もう1人はボブのNちゃん。
背が低くてガリガリ。私が今の人生でも、この子以上の人にあった事がないくらいの顔のえらがはっている子だった。こんな四角の顔見た事がない。
本人も整形でえらを削りたい。と、言っていた。
その子とは、少し縁があり。豊中市に住んでいて、私が泊まりに行ったり。彼女が別の友達を連れて、私の家に家出してきて、母の店で住み込みで働いていた事もあった。
そしてもう1組は、私よりひとつ歳上で、Oちゃんと、Yちゃんは、大阪市内から来ていた。
2人はかなりケバい、1人は帝塚山短大。1人は大手前短大。
私立のお嬢様大学よ。と、宝塚の2人が言っていた。
Yちゃんは、バイトでホステスをしている。中森明菜歌ってお金もらえるから。本当にお嬢様はOだよ。と、Yちゃんは言った。
Oちゃんの家は、貿易会社をしていてかなり、だそうだ。
Oちゃんは金髪ロングヘア。化粧もかなりケバいが、お人形さんみたいだった。
すぐに、この組の人達と仲良くなり、それぞれの部屋に遊びに行くようになった。
RちゃんとNちゃんは男の子の話ばかり。
沢山の男の子の中で、目立つ男の子達がいた。
がっちり体型にキリッとした顔。
あだ名はケンシロウ。
その子と仲良しの男の子も、がっちり体型だが、物静かな感じ。あだ名はラオウ。
その2人の回りをチョコチョコしている。チビの男の子。
時々、聞こえるチビの話声。
「これ、オヤジのロレックス借りて来たんだ」
「オヤジ、ベンツ乗ってるんだ」
ついたあだ名はスネ夫。
その3人は、宿泊所の旅館が貸し出ししているドテラをいつも着ていて、ついたあだ名はドテラメンズ。
すべて、Rちゃん達が命名。
そして、Rちゃんはケンシロウを狙っている。
そしてすぐ手にいれた。
そんなある日、Oちゃん達とおしゃべりしていると、Nちゃんがやって来て、
「スネ夫がOちゃんの悪口言っていたで!アイツめちゃめちゃヤンキーやんけ!って」
すぐYちゃんが反応した。
「アイツ、絞めたろか!」
するとNちゃんが、ニヤリとして、
「アイツ、オヤジのロレックス失くして、泣いてたで、ざまぁみろや」
と、言って、大爆笑。するとOちゃんがしょんぼりして
「オレ、クォーターやねん、おじいさんアメリカ人やねん」
ビックリだ。なんかハーフって言葉よりクォーターと言う単語に衝撃を受けてしまった。
どうりで、日本人の髪っぽくなく、猫毛でしっとりとした軽いウェイブ。
Oちゃんは本当のヤンキーだった。
ある日、ロビーでOちゃんが何か書いていた。
「何、書いてるの?」
と、私が聞くと。
「お金がなくなったから、手紙書いてるの。ギブ ミー マネエっと。」
「電話かけたらいいじゃん」と笑いながら私が言うと
「手紙の方が、気持ちが伝わるじゃん」
て。
教習所を卒業した後、Oちゃんんちに電話をかけた。
「○○で、ございます。」
の、Oちゃんの声。
私が名前をいいかけると
「おお~!くるみちゃんやんけ!」
の、豹変ぶり。
なんか面白い人だった。
そんな人のいいOちゃんにくっついては
ジュースやタバコを買う時
「100円ない~と、言うと横から100円が飛んでくるねん」
と、巻き上げていたYちゃんは、さすが大阪の女の子って感じだった。
もちろん、みんながそろうとメインは教習所の話だ。
Rちゃんの教官は、実技の授業が終わると、車から降りながら、
「ピンクのマニキュアに、ドキドキドッキン」と、言って降りるらしい。時には
「真っ赤な口紅にドキドキドッキン」とか。Oちゃんの担任は、じいさん先生。
その人は、交通ルールなどを、教える教官でもあった。
授業中例え話をする。
「運転をする時は、集中して話に夢中になったりしないように、昨日のイレブンPMは良かったなぁ。とか言わないように」とか、いつも例え話がイレブンPMで、私はとてもうざかった。
そのじいさん先生は、私の無線の担当だったが、短気ですぐに怒鳴る。
私の運転の仕方が悪いとか、散々怒鳴るので、無線のスイッチを切ってやった事もあった。
一番の問題は、私の担当教官だ。
元横綱の輪島に、似ているらしい。
まともに顔も、見た事がない。
身長は190センチくらいある。
こいつの何が困るって方言が強すぎて、何を言っているのか、さっぱりわからないのだ。
ここの県は、父が毎年キャンプに連れて来てもらっていたから少しわかるが、地元のおばさん達が
「うんだ。うんだ。」って言っているのを聞いた事がある。
うんだ、うんだなんて、日本昔話でしか聞いた事がない。
そんな、感じの言葉なので、
何言ってるかわからない=無視する=教官から嫌われる=私も嫌い。
最悪のバディだ。
「アイツ、教えて方うまいで、おもろいし」スネ夫の担任が輪島らしい。
教習所No.1は確からしい。
それより、スネ夫はなんであの方言が理解できるんだ。
「さっき、教官室行ったら、ブラックリストにお前の名前あったぞ」
と、わざわざスネ夫が知らせに来てくれた。
ランチは近くの喫茶店 アミハウスと言うカントリー調の喫茶店が私とTちゃんの行きつけ。
Rちゃん達は彼氏らが入り浸る喫茶店。
一度おいでよと、誘われたので、行ってみたが、本当に男の人が好きそうな喫茶店。まんががズラリと並ぶ。
ゴルゴ13、ガキでか、こち亀、ドカベン
昭和を代表する喫茶店まんが。
そこに出入りしてなかったからか、私は全然男の子から声をかけられない。
宝塚の1人が、両思いになった男の子と教習所から少し離れた市内に、映画を見に行ったと情報が入った。
「お土産買って来たから、部屋においでよ」と、誘われたので、お邪魔した。
「見て!ミスタードーナッツがあったから、買って来た」
と、興奮気味に発表した。
私はミスター?紳士?ドーナッツ?
な、感じだった。
箱を開けて、ひとつひとつ味の説明をしてくれて、甘い物が苦手な私はミートパイの所で目が、止まっていた。
「じゃあ、これで」
と、取りかけたら
買って来た子の友達が
「え!ミートパイ」と、小さな声で言って、買って来た子の顔をチラッと見た。
「え?ごめん、他のにするわ」と、私が言うと、
「いーよ、いーよ」と、言ってくれた。
この2人は品がいい。
生まれて初めてのミスタードーナッツとやら。そして生まれ初めてのミートパイ。
それ以来なかなか出会えてない。
今でも思い出の味だ。
みんな男友達ができたり、デートしたり
私達とケバい大阪女子2人くらいだ、全く声をかけられない。まぁTちゃんは、私といる事で声をかけられないのだろうけど。




