卒業。それぞれの未来
高校生活最後の試験。卒業試験を終えて、私の生徒手帳のペケ印しは、卒業式まですべて埋まった。
実質、授業がなくなるので、卒業式までの数日間の休みを利用して私は1人東京へ遊びに行く事にした。
お盆の帰省でお父さんの実家に帰っていた、あの近所の男の子の家に泊まらせてもらう事に。
人生最後のお年玉は9万円。
ほとんどが店の客からだ。そしていつでも家出が出来るようにと父から何かしら巻き上げていて7万円ほど貯金していた。
遊びもだが、喫茶店の備品も買う為の東京旅行だった。
「高校だけは、卒業してくれ!」のお願いと、時々家出していたので、この頃には私と父との関係は逆転していた。
東京の男の子(Y君)は練馬区に住んでいた。1階はお父さんの会社の倉庫でマネキンが沢山置いてあった。
そのY君に東京案内をしてもらう事に。
「俺達は、親から都内は治安も悪くおっかない所だと教えられてて、あまり遊びに行ったことがないんだ」
そんなY君だったので浅草に行くとき山手線を2週してしまった。
その当時(今から35年前)の東京は治安が悪く、街もとても不潔だった。
地下鉄に乗れば、辺りは薄く暗く薄気味悪かった。数人の若い男らがみんな同じようなGジャンを着ていて、私達をニヤニヤ見ていた。そいつらはの顔色は不自然に青白かった。
「アイツらヤバイよ。」
Y君が小声で言った。
地面は残飯がこぼれたように汚く、とても臭い。私は足元ばかり気にして歩いていると、もっと臭い臭いが。ハッとして顔を上げると目の前に男の背中が。 その人は、なん十枚も服を重ね着していて、髪の毛は、毛を刈られる羊のようだった。
(こりゃ、気を抜いて歩けない)
Y君は古着が好きで、何軒か渋谷辺りでショップ巡りをした。
渋谷にはできて数年の東急ハンズがあった。オシャレな雑貨がある。なんて聞いていたが、私には文具店て印象でそこで買い物はしなかった。
原宿も行った。その当時有名だった。
思ったより原宿駅小さいって。
ほんと小さくて田舎の駅って感じだった。
当時原宿はタレントがこぞってショップを出店。
ビートたけし、山田邦子、加トちゃん。
今はオシャレな街と、言う印象だが、オシャレな人は全然歩いてなかった。Y君いわく「東京の女の子はブスばかり」アイドルはほとんど東京以外だった。
「あっ、でもシブがき隊のモックンは東京じゃなかったかな?」
と、私が言うと、
「あー、アイツ俺の友達の兄ちゃんのパシりだったんだよ、アイツ全然かっこよくない、友達の兄ちゃんは方がずっとカッコいい」
と、Y君は言っていた。
東京での食事は浅草の甘味処であんみつを食べ、ランチは渋谷で、外観がオシャレだったから入ったレストラン。
入って気がついた。そこはマレーシア料理のお店だった。仕方なくピラフみたいな物を注文したら、ピラフらしき物の上に白いあげせんべいみたいなのと、その上に細いネギみたいな物がピラフを分断するようにのっていた。
味は全くせずただただ油っこく、私達は少しだけ食べてその店をでた。
東京まで来て、マレーシア料理…
全く私らしい。
Y君もY君のお父さんがうちの父を誘ったみたいに
「東京に出ておいでよ」
彼も誘ってくれた。
しかし私は東京に対して憧れもなければまた来たいと、思う情熱もなかった。
なにしろマレーシア料理店に入ってハズレを当てるくらいだから。
卒業式の日、相変わらず朝が起きれない母の替わりに父が出席した。
式の前の教室では、クラスメイトらは、別れを惜しみながらなごやかに談笑していた。が、そこへ生徒指導の教師が入って来た。教室は一瞬にして静まりかえった。
教師は入ってすぐ回りをにらむように目線だけ動かしていた。すると、私のすぐ近くの女子生徒に
「お前、化粧してるだろう。すぐ落とさないと式には、出られんぞ」
彼女は顔を真っ赤にした。
3年間部活を頑張り地味に大人しくしてきてまさかのここでクラスのさらし者になるなんて。気の毒に。
もちろん私の顔もじろじろ見ていたが、何も言う事がなく、
「お前か、今朝タクシーで来たヤツ」と
「いいえ、家族と来ました。」
教師は黙って教室を出た。
(なんだ、アイツ空気読めや!)
そしてまた談笑が始まった。
ふと見ると、クラスメイトらが教室のすみに寄っていて、教室の中央に2人だけの空間があった。
中学生の頃から付き合っている2人で、
男の子が女の子の髪をくしでといてあげていた。女の子の真っ直ぐなショートヘアのサイドを何度も耳の後ろに流れるように。大事そうに左手で押さえながら。しかしむなしくもサラッと毛先は下へ向く。
「K君は家業の理髪店を継ぐ為専門学校へ、行くんだって。彼女はK君を待つ為地元に就職。当分会えないんだって。」
近くの女の子が教えてくれた。
しかし、K君が専門学校で新しく彼女ができて、破局になった。
式に向かう途中女の子達が数人立っていた。
私は数ヶ月前から、モテ期に入っていた。
ある日は、下駄の中の靴に紙切れに私の名前が書いてあり、
「あなたのことが好きだと思う」と、書いてあった。
なんだか変な文章だ。
好きだと、思う。のか。
好きだ、と思う。のか。
私はくだらない事で頭を使った。
そのまた後には、家の電話にたまたま出ると、別の科の男の子からの告白だった
その男の子は科は違うが同級生。
一番の驚きは、彼が同級生の中で一番カッコいいと言われいる事だ。
(なんで?私?)
「いきなりなんで、考えさせて下さい」
一番に相談した仲良しだったK。
Kもビックリ。
「すごい!うらやましい! OKして!」
私達が高校入学時に流行ったのが、気になる子へのアプローチとしてその子に質問形式でアンケートを渡すのだ。
「今、付き合っている人いますか?」とか
「誕生日は?」など。
そのKが入学してすぐその男の子にアンケートを送った。すると誕生日が私と一緒だった。それ以外何もつながりもなく。断る前に向こうから諦めます。と
アンケートは決して好きな人へとは限らなかった。
同級生の女の子に面白い子がいた。
顔が大きくて色は浅黒くほっぺは赤く。胴長だったので制服のベストが
短く、中に着ているシャツが腰辺りからのぞいているのだ。彼女はからかい半分で、部活の先輩に渡していた。
内容を見せてくれなくて、一瞬見た欄には
「手の甲に血管は浮いていますか?」と書いてあった。
式に向かう途中の女の子達は私な制服が目当ては子だったり、1人の女の子は何歳下か忘れたが、廊下で会うと挨拶してくれたり、こんな怖そうな私に話かけてくれたりしてくれた。
「卒業おめでとうございます。」と、言って手紙をくれた。
この子なら制服あげてもいんだが、結構ぽっちゃりで、かなり天然な子なので私の制服を着れたとしても、あの子らに何かされるかも、そんな子だった。
この子(A)とは、卒業しても何かしら縁があって、街でバッタリ会う事もありその度に近況を聞いていた。
Aは高校卒業後、美容師になった。
相変わらずのぽっちゃりに磨きをかけ、ヘアスタイルは高校の時と同じであか抜けていない。
そしてまた何年後は会うと、美容師は辞めていた。
Aと私には、共通の知り合いがいて、その後を聞いた。
Aは結婚して女の子を産むと、旦那は他の女と家を出た。
嫁に行った先には、旦那の両親もいた。
空気的に出て行ってほしいみたいだったが、Aはいつか旦那が自分の元へ戻ってくれると信じ、母屋から同じ敷地内の物置小屋へ娘と移り住んだ。
すると旦那の姉が嫁入り先から子供を連れてで戻ってきた。旦那の両親は娘の為に同じ敷地内に離れを建ててやった。
同じ孫でも扱いの違いに、私の知り合いも、そこまでされてまでいる必要がないと、言ってもAは居残った。
そんなある日、Aの所に沢山のパトカーがサイレンを鳴らして入ったのがみえたらしく、Aに電話すると、始めて家から出て気がついたらしい。
かなりの鈍感だ。
旦那の姉が自殺して、警察がきたのだ。
それをきっかけに旦那が12年ぶりに姉の葬式の為帰ってきて、離婚が成立した。




