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そこにくるみの木があったから  作者: タラ吉の助
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やってみた。

中学に入学して初めての音楽の授業の終り、「起立!礼」私が顔を上げる前には先生が声を上げていた。「今から名前を呼ばれた者は今日の昼休み音楽室へ来るように!」と先生が言った。クラス25人中10人ほどが名前を挙げられた。早すぎて誰々呼ばれたかわからなかったが、自分の名前は耳に入った。音楽の教科担任は男の先生だった。背が高くかっぷくのある50代の人でロマンスグレーの髪は整髪剤で整えられ、前髪に10本ほどの束が額に垂れ下がっていた。音楽の先生は女性と、言う私の勝手な印象だったので

ピアノを弾く男性の姿はオシャレな大人の世界に見えた。私は昼休みの音楽室への呼び出しの理由を必死で考えた。(私の授業態度が悪かったのか)(いや、小学校から優等生の子も呼ばれていた)私は不安でたまらなかった。昼休みまでの間他の子にリサーチしてみた。まず、名前を呼ばれたかを聞き、呼ばれた子には昼休み音楽室へ行くか聞いた。「行かない」と、キッパリ言う子は、「行く理由がないから」と。(行かないと、いう選択肢があるのか。)私には勇気がないな。そして「行く」と、言った子。「だって行ってみないとわからないもん」(ごもっとも)私も行ってみることにした。音楽室へはみんなの後のほうから小さくなって入り席についた。みんなも少し緊張ぎみでシーンとしていた。先生が生徒の前に立ち、「〇〇フルート、〇〇アルトサックス、〇〇テナーサックス、〇〇トランペット、〇〇トロンボーン、〇〇チューバ、〇〇ホルン、〇〇ユーホ、〇〇クラリネット」と先生は何も見ずに涼しい顔をしてスラスラと言った。「君らの担当の楽器だ。君達にはブラスバンドに入っもらう」私は「へ?」だった。人は予想もしない事を急に言われると「え?」ではなく「へ?」だと私は思う。そして頭の中で整理して初めて「えー!」となるような気がする。「クラリネット?あのパパからもらって壊しちゃった、あのクラリネット?聞いた事はあるけど、見たことない。それを演奏する?。「できないです!」と心の中で叫んでいた。そして回りを確認すると、そういう顔をしている人がいなかったので、仕方なく「やります。私」とゆう顔をして先生を見つめていた。楽譜も読めないのに。ブラスバンド(ブラバン)は不思議な位置付けだった。

私の中学では体育系が部活動で主に放課後に活動して文化系は茶道、囲碁将棋、美術、などはクラブとして週に1時間授業として組まれていて、生徒はどちらにも所属しなくてはならなかった。ブラバンをしている私私達もどちらにも所属していたのだが、優先順位はブラバンだった。私は一応美術クラブだったが年に一度くらい、生徒間の中で伝達があり「今日はブラバンの練習休みだから先生がクラブへ行けってっさ」その時はそれぞれのクラブに顔を出す。ブラバンの主な活動は学校内外でイベントでの演奏。運動会、文化祭、そして少し離れた町の大きなホールで行われる県内の中学校の演奏会だ。まず、一学期からの練習は毎年恒例運動会での行進曲「海兵隊」だ。全校生徒200人の内50人ほどが先頭を演奏しながら行進してあとの生徒が行進する。田舎の学校のわりには中々、手の込んだプログラムもあった。小学校では6年生の児童が30キロの米が入っていた紙袋にドラえもんやお化けのQ太郎などのキャラクターが大きく書かれていており、それを頭からかぶりひざ下まで隠れた足は裸足なのだ。それを親が自分の子供を見つけるといった内容の競技だった。題名は「宝さがし」。さすがだ、ほぼ全員の親達は素足しか見えない子供を探しあてるのだが、1人おっちょこちょいな親が間違えるとすべて狂ってしまう。子供の足が違うと思っても1人しか残っていないとその子供を一旦ゴールに連れて帰り紙袋を引きあげなくてはならない。間違えるとギャラリーからは大爆笑だ。中学では3年生だけのプログラムで「仮装行列」が、あった。私より1つ上の学年はテレビ番組などをテーマに俺たちひょうきん族。たけちゃんまんやブラックデビルなど。私達はアニメーションから巨人の星、タイガーマスク、パーマン、うる星やつら、キャッツアイ、マニアックなところでストップひばりくんなどだった。それぞれ家から持ち寄った服や布から簡単に作った衣装などでこれがまた結構よせてできていて面白い。そのままの格好で「マイムマイム」を踊るのだ。どれもやるのが楽しみなプログラムだった。「海兵隊」は毎年演奏しているので、さらっと練習すると、あとは秋のホールでの演奏会の練習に入る。毎年2曲演奏するのだが先生のはからいで1曲はヒット歌謡曲を入れる。3年間で演奏したのは、青い珊瑚礁、マドンナ達のララバイ、ロッキーのテーマ、セーラー服と機関銃。もう1曲はいろんなジャンルからでクラシックから新世界交響曲、アルゼンチンタンゴのラ・クンパルシータ、ジャズのムーンライトセレナーデ。ムーンライトセレナーデは3年生の時演奏した曲で、クラリネットのソロパートがあり、私ともう1人とで 立ってソロ演奏させてもらった。ホールでの演奏会では、各学校の演奏をテープに吹き込みステージでの演奏中の写真も張って販売していた。先生の選曲のセンスは素晴らしく、去年私達が演奏した曲は必ずよく年には他校が何校も演奏していた。「これ去年私達が演奏した曲よね」と、自慢そうに言ってるけれど明らかに、他校の方が演奏は上手い。だが、みんなそれにはふれないのだ。先生はタクトをふる姿も格好良かった。ピアノを弾く時も楽譜のページをめくったあとの手で前髪をかき揚げる。そして曲を

イメージするジェスチャーも情熱的に伝える。「ここの所をパーンと!」片手を高く挙げ。その度に私は「オペラだ」と呟いていた。ある女子生徒が教えくれた。「先生子供がいないんだって、奥さんが自分は子供が望めない体だから結婚はできない、と言ったけど先生はそれでもかまわないと言ったそうよ」(さすがオペラ、情熱的)。1年生の時はいぶし銀のクラリネットだったが、学年ごとにきれいな楽器に替わり3年生になるとピカピカなクラリネットだった。私より1つ上の女の子が自分のクラリネットを持っていたが私も買ってもらおうとは思わなかった。高校に入ってブラバンに誘われたが入る気がしなかった。あの先生だからやれた気がした。私が2年生になって新しく入った子になんでブラバン入ったのか聞いてみた、「先生が昼休み音楽室へ、遊びにおいでって」

優しくなっていた。だからだだろうか、私の学年よりかなり少なくなっていた。



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