表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そこにくるみの木があったから  作者: タラ吉の助
PR
30/71

私は一人っ子

小学三年生の三学期を半分過ぎようとしたある日、家に帰ると茶の間に知らない青年がいた。オールバックのヘアスタイルで格好つけている感じで中学三年生だとゆうが少年とゆうより青年だった。母が「親戚の子を預かる事になった」と私は「ふーん」他人がよく出入りしていたのでなんとも思わなかった。マリ姉ちゃんは少し前から遊びに来ていた。みんなで晩御飯を食べた。母がウインナーを一皿にしか盛っていなかったので、その青年が遠慮なく食べていた。少し離れた所にあっても手を伸ばして。(みんなに食べさせる気ないのかしら)腹が立ったので私も一本食べた。(気付いたら?他の人もいるのよ)全然お構い無しにガツガツ食べていた。私は二本目を食べたか覚えていないが、マリ姉ちゃんやうちの両親も食べていなかった。母はその夜店を休んだ。店にいるか、家出をしているか、なので珍しかった。「くるみちゃん一緒にお風呂入らない?」断る理由がないので、一緒に入った。私が先に入り、入口の方を向いて湯船に入り、あとから母も湯船に入った。二人は肩を並べる形で、母は私の後ろから話かけた「あの子はね、くるみちゃんのお兄ちゃんなのよ」私は母の方を見ないまま、入口の方を向いたまま「私にはお兄ちゃんはいない。私は一人っ子」と泣きながら言った。あんな人がお兄ちゃんなんて 信じたくなかったし、受け入れられなかった。母は父と結婚する前に別の人と結婚していて、その人との間にできたのが、今いる青年だった。学校から帰った時から雰囲気が悪かった。みんな私の反応が怖かったのだ。だからマリ姉ちゃんの眉が悲しそうだったんだ。母の前の旦那も酒ぐせが悪く、あの青年を置いて家を出たのだ。そして離婚後前の旦那が死に、子供は施設に預けられたと。順番がよくわからないのだが、いつ前の旦那が死んだのがわかったのか、なのだ。それから興信所を使って息子の居場所を突き止めたらしい。母は自分の過去を語りたくないらしい。私もそれはさとっている。折々問題が起きる度に私が父に聞いてわかった事だ。そしてこの度この青年を引き取るにあたり、父との養子縁組まで交わしていて、血がつかながっていまいと、血が半分つなかっていたとしても、法律的に私の兄なのである。自分だけ美味しい物を食べれたらいいと思う自己中心的、お世辞にもいいとは言えない容姿にもかかわらず容量ばかりする。うちの中学は男子は坊主といった校則なのだが、彼はしなかった。頭の形が悪く坊主にしたらいじめられるかもと母が学校側に訴えたのだ。ただ単に坊主になりたくなかっただけだ。そうしたずる賢さもキライだった。うちに住みだして、タバコを部屋で吸っているのがわかった。父は自分も中学から吸っていたので、キツく注意はできなかったが、気分は悪かったと思う。怒りはしなかったが「こそこそしたまねをするな、吸うなら堂々とわしの前で吸え」普通は遠慮する所だが、彼は涼しい顔で吸っていた。毎朝鏡の前で腫れものにでもさわるかのように髪をセットする。かなりの時間をかけて。ある日学校から帰ると家の近くに女子中学生が

二人。「妹さんよね、彼の事を教えて」と、言うので「ウインナーが

好きです」と私はいった。「きゃーウインナーですって」お姉さん方は坊主の男子に飽きているだけの、新し者好き。私にはそー見えた。私は彼をキライと言うか、軽蔑していた。決定的だったのが、高校入試の朝、母も起きないが、本人も起きない。仕方ないので私が階段下から声を掛けた。「今日高校入試の日じゃないの?」返ってきた言葉にビックリした。「頭が痛いから行かない」私はあわてて母を起こした。すると母も「しょうがないわねぇ」と布団の中で言っている。コイツらアホだ。気は確かか。すると彼は母の布団に潜り込んで「頭が痛いぃ」と甘えている。最低。信じられない。後日父が言った、「実はあいつが高校に行かなくてホッとしている」と、多分問題を起こすだろうと。そんな彼でも中学卒業後の進路は決めなくてはならない。父の兄の息子が自衛隊にいて、口添えで県外の自衛隊に入隊した。あれだけ嫌がっていた坊主は必須条件なのに。結局高校に受かる自信がなかったのだと思った。クラスで格好つけている手前、勉強はからっきしだったと思った。その自衛隊も数ヶ月でやめてしまった。彼には辛抱強さやチームワーク仲間を大切にする気持ちなど全くないから、団体行動は無理だろうと、思った。それから鳶職についたとか、何しろ、電話だけのやり取り。途中金使いが荒い為、サラ金とかのトラブルとかもあったりと、父らにかにかしらいろいろ迷惑はかけていた。数年後彼は結婚する事になった。相手は現役の短大生だった。両親は共に学校の先生だとか、中卒のしかも車の免許もない男が認められる訳もなく、親子の縁を切っての結婚だった。しかも一人っ子らしい。そして二人に女の子が生まれたが、結婚する前の借金もありすぐに生活は苦しくなった。もー財布に何十円しかない。との連絡を受け、当時の私の彼、今の旦那と私と両親とで、フェリーに乗り引っ越しの手伝いをしに行った。こっちに帰るにあたり、とりあえず車の免許が必要との事で父が自動車学校にいれて中古の車を与え就職させた。住まいは、町営住宅を用意して。その間収入がないので、嫁にうちの店で働かせた。少しして、生活は落ち着いて、買い物に出掛けたりすると母の監視が始まった。また浪費をするのでは、とか。嫁さんが夜休みたいと言っても休ませなかったりと、これでは夫婦すれ違いの生活だ。私の目から見ても、せめて嫁さんも昼の仕事をさせてあげては、と思っていた。案の定二人と連絡が取れなくなった。車で10分の所にある住宅はもぬけの殻だった。母はまた興信所を使い二人の居場所を突き止めた。そこで話し合いをしたらしい。そしてもうこちらには帰らないと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ