この夫婦にうんざり
店を始めて少しした頃だろうか。ある夜中2時か3時ふと目がさめた。両親は隣の部屋に寝ているので寝息だったり気配を感じるのだがそれがない。「お父ちゃん?」「お母ちゃん?」と呼んでも返事がなくいないみたいだ。もー帰ってるはずなのに。何かあったのだろうか。その夜は怖いので布団をかぶって寝た。次の日母に聞くと客やホステスらと車で1時間くらいほどの温泉街へ遊びに行ったとの事だった。朝まで営業している店もありラーメンを食べて帰ったと、私は一人ぽっちにされるのが嫌で、今度は私も連れて行くよう母と約束させた。さてその日がきて夜中1時頃起こされ車にゆられ温泉に入りラーメンを食べて帰ったものの、ものすごく労力がいるので一度で断念した。しかしマリ姉ちゃんらと隣町に夜食を食べに行く時は眠かったがついていった。居酒屋に着くとマリ姉ちゃんのひざで寝ていたのが、マリ姉ちゃんがざるそばを注文していて、食べてみるか?と聞かれ食べてみるとすごく美味しかった。初めてのざるそばだった。父はすごく酒に酔っていてラーメンが目の前にあるのになかなか食べずタバコを吸っていた。そしてタバコをラーメンの上にポンポンと灰を落とした。灰皿と間違えたみたいだ。「お父ちゃんラーメンの中にタバコの灰が入ったよ!」と私が心配そうに言うと「タバコの灰はなぁ身体に良いんだ」と言って、タバコを指にはさんだままラーメンを食べ始めた。私はほんとかなぁと回りを見ると、母達も知らん顔をしていたので、少し大きくなるまでタバコの灰は身体に良いと思っていた。なかなかデンジャラスな健康法である。デンジャラスと言えば母もそうだ。母の場合私が被害者なのだが、茶の間と両親の寝室とのあいだが私の部屋なのだが、真ん中が通路の用になっている。ある夜部屋を歩いていたら足に違和感が、見たら右足の中指に針が刺さっていた。「あらら」と思ってよく見ると針が突き抜けていた。「お父ちゃんこれみてー」と笑いながら見せると父が血相を変えて針を抜き出した。私は「全然痛くないから大丈夫」父は必死で抜こうとしていて「早く抜かないと肉が食い込んで中で針が折れたら大変な事になる」と聞いてからは私は怖くなり泣き出した。がほどなくして針は抜けた。血も出なくて穴らしきあとがあっただけだったが。針の落とし主は母である。ついこの前もこたつの中から針が出た。母に注意すると「おかしいなぁ 使う前に数えたのに」と 私が「使った後にも数えないと」と言うと「使う前に数えたのに」「だから…」もー言うのも面倒だ、息を吸って言葉を発する力が出ない。母には何度も危険な事に巻き込まれる。あれは中学生の頃台所で洗い物をしていると、母が流し台の下の扉の内側にある包丁を立てに差し込む収納があり、そこへ刺身包丁を突っ込んだ時包丁を入れる枠をはずしてしまい、私の足の甲に落ちてきたのだ。私は「!!」と声にならない叫んだ。母は自分の口に人差し指を立て「しー!」とジェスチャーした。何故なら側で父がお酒を呑んでいたからだ。私の足は幸いにスリッパを履いていて刺さらずポンと跳ね返してくれたから良かったものの、足の甲にぐさりと刺さっていてもおかしくない状況だった。痛い目ばかりではない。いい恥じも沢山経験させられた。あれは毎年恒例の家族キャンプ。父がバスを借りて私のいとこやホステスらと海に行くのだ。ある年キャンプ場に着くなり、母に「米を持って来るのを忘れた。お父ちゃんに怒られるからどこかで米を調達して来てほしい」と父の50万円くらい入った財布をわたされ私は父のいとこの子供で私よりひとつ下の女の子と海岸沿いをひたすら歩き民家を探した。2キロ以上歩き一件家があり訪ねた。そこの家のおばさんに母に教わった通り「〇〇県から来た〇〇です。お米をわけて下さい」と私は言った。するとおばさんは「見知らぬ人にお米をわける訳にはいきません」と言われた。そしてあと一件も訪ねたがやはり断られ、私達は来た道をトボトボと帰った。キャンプ場に着くなり母が「ごめんごめんお米あったわ」とあっさり言われた。今なら「キャンプに来てお米を忘れましていくらか売ってくれませんか?」と言えば売ってもらえたと思う。あれでは物乞いだ。いい恥じをかいた。そして次の恥じは私が中学入学して部活に入り、その当時土曜は午前中授業で午後から部活があり、お弁当がいるのだ。私は母に頼んだ。「明日お弁当いるから」と。朝になると作っていなくて、昼に学校に持って行くからと、待っていたら、同級生の誰かが、「おばさんが下駄箱にいるよくるみちゃんを呼んでって」行ってみると学校の近くのラーメン屋のおばさんがヤキソバを配達してくれた。「お母さんに頼まれて」と。私は教室で食べたが教室中はヤキソバの匂い。からかう者もいた。「いいよな、一人っ子は」私は次から自分でお弁当を作った。もちろんお弁当作りは高校生になっても作り続けた夜におかずを作り、朝ごはんをつめるしかし朝起きると昨晩作ったおかずがない。犯人は父だった。冷蔵庫を見るとなにやらご馳走が、酒のつまみにしていた。またある朝はごはんがない。昨晩夫婦で夜食を食べてごはんを完食されていた。私は訴えた。助けてとは言わない。頼むから私の邪魔をするな!と。




