自由人
父は父でマイペースかつ時々トラブルに巻き込まれつつ母の抵抗もむなしく相変わらずな生活を送っていた。昼となく夜となく人が父を慕って来ていた。ある日来たおじさんは子供の目から見ても怪しかった。指がアットランダムにないのだ。ある指は第一間接からそしてある指は真ん中あたりからないのだ。うちは両親がタバコを吸うのでタンスにタバコの買い置きがあったその人は「兄貴タバコ売ってくれ!」と言って当時220円置いて帰った。ふと見ると一枚銀色のお金がちがう「お父ちゃんこれ日本のお金とちがう!」すると父は「儲けた!珍しい」今思えばウォンだったかも。おじさんはその夜町の車屋の事務所に押し入り窃盗で捕まった。ある人はお金を借りに来ていた。「兄貴10万円貸してくれ!」と私の前で土下座していた。その人は一度返してはまた借りて、また返した。町内でも有名な詐欺師だった。彼に貸すと100%返ってこない。家まで請求に行っても「ないものはない」と開き直るのだ。大勢の人が涙を飲んだが、父は「わしにはそんな事なかったけどなぁ」とのほほんと言っていた。その人は酒、ギャンブル、女。の典型的な遊び人だった。妻と3人の子供もいて。その人も商売をしていた。父は私に「商売は今日3万円入ってもすべて自分の物ではない、電気代やお酒などの仕入れの料金を払った残りが自分の物なのだ。あいつは3万円入ったら3万円使っているからあーなるんだ。父は酒を呑まなければまともだ。ある日遠くの警察から電話があり呼び出された。うちにあった日本刀を持っていた男が銃刀法違反で捕まり、持っていた日本刀の登録が父の名前だった。「お宅日本刀なくなってない?」とゆう内容の電話だった。その男なら私も覚えている。何度も訪れては「骨董品がみたい」と奥の部屋に行っていた。警察が言うには窓から外へ置いたあと帰りに持って帰ったとの事だった。父はこっぴどく警察に注意されたとか、きちんと鍵をかけて保管しなくてはならないのだ、しかし今も床の間に飾っている。私はその日本刀でボコボコに叩かれた事がある。ある夜自分の部屋で勉強をしていると父から父のすぐ後ろにある沢山お金の入ったご自慢の財布を取るよう言われた。その前から酒を呑み、少しばかり羽振りがいい事を独り言で自慢していた。私は気分が悪く、「自分で取ればいいじゃん」と言った。それが気に入らなかった父が奥の部屋へ日本刀を取りに行って私を叩いた。泣きわめく私に容赦なく。私は近所の家に逃げた。めちゃくちゃ腹が立った。殺してやりたいと子供ながらに思った。父は酒を呑むと人が変わる
自分より劣る人間をののしりまくるのだ。うんざりだった。しかし呑まなければ面白いし優しいかった。唯一つ母に手をあげた事がなかったのでゆるせたのかもしれない。私の中ではそうだった。その日本刀が盗まれた時も「あいつも警察にバレないように持っておけば良かったのに」と嫌、そこじゃないから。少し焦点がズレてる。私の息子が大人になって私と父3人で奥の部屋に居た時息子がふざけて刀を抜いたすると父が「刃に触れるな!」私と息子は「手をケガするから!」のセリフを想像していた。しかし父は「刃が錆びる!」と言ったのだ。2人して「そこー?」と爆笑してしまった。父は私の前でもよくケンカもしていた。ある夜電話がなり父は「おー!来い!」と叫んだ。「くるみちゃん二階に上がって部屋に鍵をかけとけ!すぐ!」私はすぐ二階に上がり、鍵をかけた。すると男の声と父の声でケンカが始まった茶の間に置いていたインコのかごがガシャガシャいいインコがバタバタしていた。「あーインコもつれて上がれば良かった」もし長引くようなら瓦づたいにあるき台所の所が低いからあそこから飛び降りて近所に助けを呼ぼう。ケンカはおさまった。降りてみると何事もなかったような顔を父はしていた。その男は大阪帰り。こっちに帰って大きい顔をするために父をやってやろうと目論んでた。そのあとまた一回来た。ある日は家の玄関を開けたら父と父の叔父さんが取っ組み合いをしていた。私は邪魔にならないように横を黙って通った。そしてまたある日はあるホルモン店のオープンに父に連れられて行った時また始まったビール瓶を持って父に殴りかかろうとするおじさんに「こいつを殴るんなら俺を殴れ」とゆうおじさん。お店のおばさんは私に「お父さん連れて帰って」と嘆いていた。父は悠々と座って酒を呑んでた。嫌いなヤツでもいたんだろう。父は好きキライが激しい。いいヤツにはとことん親切だが、キライなヤツはとことんけなす。仲のいい人近所の新築の棟上げの手伝いに行った。父も地下足袋を履いて材木を組んでいた。餅投げが始まる。大工の棟梁が高い所に上がり「天下泰平!」と叫んで東西南北に大きな餅を投げる中にはお金が入っている。取った物は縁起もいいので大人達は激しい取り合いをする。倒れる人。踏まれる人。「くるみちゃんお父ちゃんの服握れ!足もとに落ちた餅も拾うなよ」「餅は手に入れてやるから」足もとに落ちた!でも拾わない。「オーイここだ!」父は家の中心に私を連れて行き大きな袋の口を広げた真上から袋に吸い込まれるように餅がドサドサと入って来た。それを私に渡し「持って帰れ」一番の餅投げの醍醐味ないんですけど。私は決して餅が沢山ほしい訳ではなく、遠くにいて一個でも飛んできた餅を拾いたかった。




