第5話
おれはオカルト研究会のメガネの女子を背中に乗せて歩き出す。
ほかの学生もやっとこの山から下山できるという気力だけで足を動かすようにノロノロと歩き出した。
難所の岩場に差し掛かり、おれは懸命に下って行った。
すると、地鳴りがしたような気がして、彼女を下ろしてその場にしゃがみ込む。
地鳴りは次第に大きくなり岩場の石が転がるほどの揺れを感じた。
もしやと思い山頂を見上げると火口から灰色の噴煙が立ち上り始めていた。
「はやく逃げろおーーー煙にのまれるぞ!!!」
おれの叫び声を聞き不安定な岩場を駆け下りる登山部員達。
オカルト研究会の武田はカメラを構え火口から立ち上る噴煙を撮影していた。
「おい!写真なんか撮っている場合か!早く逃げるんだ!」
おれが武田を怒鳴りつけると渋々岩場を下っていく。
オカルト研究会のあの男2人はどうしたかと思い彼らを探すと、彼らは2人とも火口の方を眺めてながら絶望にもとれる表情を浮かべながら薄ら笑いを浮かべていた。
「おい!そんなとこで突っ立てたら死ぬぞ!噴煙は有毒ガスなんだ!口を布で抑えるんだ」
おれが2人に叫ぶと2人はノロノロと動き始めた。しかし、そのスピードでは煙にのみこまれてしまう。焦る気持ちを抑えながら歩いていくと登山部部長の松井がこちらに戻ってきた。
「和泉さん、このままじゃ噴煙にのまれます!彼女は僕が連れていきますので、あの2人の誘導をお願いします!」
「そうか、助かる」
おれはそう言って彼女を松井に託す。
おれはオカルト研究会の2人の男たちを誘導していると、頭上からパラパラと何かが降ってきた。
見上げると、灰が空に無数に舞っている。
「おい!本当に死んじまうぞ!もっと足を動かせ!!」
2人を後ろからまくし立てながら歩いていると、頭上から灰ではない何かが音を立てて落ちてきた。
おれはその落ちてきたものを見る。
それは握りこぶしくらいの噴石だった。
山から鳴り響く爆発音と噴石で先をだいぶ先を歩いていた登山部員の足が止まっていた。
「おい!止まるな走れええええ!!」
おれの声を聞いて先頭にいた登山部員が慌てて進みだす。
その瞬間だった。
まるで噴石は彼に狙いを定めたかのように、先頭を歩いていた登山部員の後頭部に命中した。
先頭を歩いていた登山部員がずるりと崩れ落ちた。その彼の頭の上はほぼ半分噴石によってそぎ落とされていた。
その部員の近くにいた登山部が悲鳴を上げる。
馬鹿!そんな大声出したら大量に有毒ガスと粉塵を吸ってしまう!
次の瞬間叫び声を上げた登山部員が首を両手で押さえながら膝を地面に着いた。
それを見ていたかのように噴石は彼をめがけて飛んでいく。
噴石は彼の背負っていた大きなリュックを貫通し腹から噴石が飛び出し、前のめりに崩れ落ちた。
硫黄のような有毒ガスの臭いと、周囲に広がる粉塵。止むことのない地響き。
この光景はまるで地獄のようだった。




