偶然か運命か
ー翠視点ー
“ねぇ…昨日のニュースみた?”
“あぁ…親殺しなんて酷いわね”
“なんであんな酷いことが出来るんだろうな”
煩い…
煩い煩い…
俺は耳を塞ぐように机の上で伏せる
しかし
直ぐに虫が集る
“翠!おはよ!なぁ昨日の親殺しのニュースみたか?よーくあんな事できるよな!親に育てられたくせにさ!”
またこの話だ…
昨夜どこかの中学生が親殺しをしたらしい
確かに世間から見たら悪いかもしれないが
それなりの理由があってこそだろうに
何も知らずにケラケラ笑いながら親殺しだと蔑む此奴らに大層不快感を感じる
でも俺は校内では優等生なんだ
完璧にならなくてはいけない
完璧じゃないと…
完璧じゃないといけないんだ
「はは…そうだね。俺もそう思うよ。」
キンコンカン…
朝礼の時間になる
“はい!皆さん座りなさい!”
俺は扉の向こうの小さな影に目をやる
なんだあれ
新しい…
“新しい転校生を紹介します!さ、入って!”
彼の服は色褪せていて毛玉もいくつか、糸のほつれもみえる。あまり裕福ではないのか?
“この子は碧くんよ、皆仲良くね”
…首の下の赤いような…青いような…
……もしかしたら
“じゃあ碧くんはそこにすわって頂戴、さて授業を始めるわね!”
ちっさな身体…栄養失調なんじゃないのか?
隣に座ってきた…
うっ…匂いがキツい…
風呂も入ってないのか?
勘弁してくれよ…
俺はチラッと彼の顔を見た
…
ボロボロな身体の割には綺麗だった
そして
彼の瞳に吸い込まれそうなくらい
あ
そっぽを向かれてしまった
綺麗だったな…
でもこの匂いだけは受け付けないな…
そしてチャイムが鳴り
彼は痩せぎすの身体とボロボロな服、匂いで案の定皆から煙たがられるようになった
でも俺は彼の事が気になった
綺麗だったから
それに僅かに見える彼の痣に
興味を隠しきれなかった
「俺は翠、君の名前は碧くんだったよね」
ん?
おかしいな
緊張してるのか?
返事をくれない
普通なら俺に声をかけられたら…
!
またそっぽを向かれた
どこが駄目なんだ?
動揺をかくせない
バグのようだ
俺が無視されるような
こんな…こんな惨めな気持ち
「ねぇ碧く…」
……スタスタ去ってしまった
なんなんだ
横目で見て俺はいつも通りに取り巻く虫達と話す
彼は明日は話してくれるのだろうか
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