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8 エマとお話

中庭に行くと、ちょうど木の下の白いベンチがあいていた。

並んで腰かけると木が影になって心地よい。


「エマ、あなた、どうするつもりなの?」


「どうするって?」


エマは首を傾げた。


「ゲームのことよ。攻略対象とは関わるつもり?」


「ううん、それはいいかなぁ~私、リリと青春したいの!」


「そうなの?うれしいわ」


攻略対象よりも私がいいって推しに言われるのはほんとにうれしい。口が緩んでしまいそう。


「あ~もう~かわいい~リリ~」


そういってエマは私に抱き着いてくる。


「エマのほうがかわいいわよ」


エマは体を起こし、私をしっかり見た。


「それはないよ、クラスの男子の反応見た?みんなリリにくぎ付けだったよ」


「それでいうなら、エマだってそうよ」


「それは知ってるよ、ヒロインなんだから。でもね、リリのほうが多かった」


気づかなかったけど…そう、だったのかな?

まあ、どうでもいいや


ふっと顔を上げると、奥からリアム様がやってきた。


「リリー、友達ができたみたいだね」


私が立ち上がるとエマも慌てて立ち上がった。

エマは口に手を当てて笑顔で何かをつぶやいてた。

また変な誤解をしてるんだろう


「ええ、すっかり仲良くなったの」


するとエマはガタっとベンチの腕置きに手をついた。


「大丈夫?エマ?」


「うん…私のことは気にしないで続けて!」


「そう?ごめんね」


「ううん!」


私はまたリアム様の方を向く。


「何しに来たの?」


「リリの顔を見に来た」


「冗談はほどほどにね」


どうせ面白がって何かするに決まってる。


「リリー、あのブローチはつけてくれないんだ?」


「あ、えっと、持ってはいるんだけど…」


「うん」


「な、なくすのが怖くて」


するとリアム様はふっと笑った。


バカにされた…


「大丈夫。なくしたらまた贈るから」


「いや、全然大丈夫じゃない!絶対高いでしょ?これ」


「う~ん…まあ、リリが気にする必要はないよ」


はぐらかされたよ、もう


「リリー、ブローチ出して」


「え、いや、あの」


「リリ?」


有無を言わさぬ笑顔を向けられて、しぶしぶカバンから取り出す。

リアム様はブローチを箱から取り出すと私の制服のジャケットをそっとつかんだ。

私は思わずあとずさる。


「リリー、動くと危ないよ」


「だって、絶対つける気でしょ、リアム様!」


「え、うん」


即答…誤魔化そうともせずまっすぐ言われて私は一瞬動きが鈍くなった。

その隙にブローチを付けられる。


「あー!ちょっとリアム様!」


そして、リアム様はブローチに手をかざした。すると、ブローチが一瞬光った。


「な、なにするの!?」


「僕以外、これをとれないようにする魔法だよ?」


リアム様はにっこりと笑っている。

くぅ…やられた……私も取れないじゃん…


「じゃあ、また明日ね、リリー」


「うん……」

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