番外編 『ラバーダッキーのキュルキュルな日常』
ハロウィンなのでなにか書きたかったのですが、よくわからないものができてしまいました。
よろしければ、どうぞ (o^―^o)
ある日の事。
私は寮の部屋を掃除していた。
さっきまでエマとやっていたのだが、エマは雑巾をもらってくると言ってまだ帰ってきていない。
本を机の上に重ねていると、ふと不思議な本が目に入った。
「ん?なにかしら、これ?」
拾ってみるとマスタードイエローの表紙には『ラバーダッキーのキュルキュルな日常』というタイトルが書いてあった。
「ラバーダッキーの…キュルキュルな日常??」
キュルキュルって何かしら?目の事?確かにラバーダッキーはキュルキュルな目をしていることが多いけど…
ちょっと興味がわいてきて、その本を持ってソファーに腰かけた。
本を開こうとしたら、なぜかくっついたように開かない。
「え?もしかして古い本?」
横から見てみると、表紙が厚く、最初の数ページが箱みたいになっているようだった。
そして、小さな鍵穴がついていた。
「へえ…おもしろいわね」
こういう本ってちょっとワクワクするわ
でも、どうやって開けようかしら…?
パッとあることを思いついた。
私は洗面所へ行くと、ヘアピンを一つ持ってきた。それを鍵穴に差し込んでガチャガチャしてみる。
すると十秒後くらいにカチャリと音がして表紙が緩くなった。
そっと開いてみると、中には目の部分に黒い宝石が埋め込まれたラバーダッキーの絵があった。
まっすぐと見つめてきているみたいで少し不気味だ。
その瞬間、強い光で視界が埋め尽くされた。
「なにこれ?」
何も見えないわ。何の本だったの、これ?
そして私は何の前触れもなく、パタリと気を失った。
* * *
目が覚めると私は床に寝転がっていた。周りを見ても寮の部屋で安心した。
だが、意識がはっきりしていってあることに気づいた。
家具がやけに大きい。
慌てて立ち上がろうとしても私の体はびくともしなかった。
な、なにが起こったのかしら!?
えっと、状況を整理しようかしら。たしか、あの『ラバーダッキーのキュルキュルな日常』を見つけて、鍵穴をこじ開けて…で、そうだ!あの不気味な絵。あれが原因かしら。
そのとき、ドアがガチャリと開く音がした。
「リリ~ごめんね、おそくなって…ってリリ?」
エマが戻ってきたようだ。体が動かせないから姿は見えない。
エマ!いるわよ!
と言おうとしたけれど、声が出なかった。
さすがに怖くなってきた。
本当にあの本何?呪いか何かが入っていたのかしら?
どうしようもなくて私を探すエマの声を聞きながら前を向いていたら、エマの不思議そうな声がした。
「あれ?なんでラバーダッキーが?」
あの本見たら、そうなるわよね。ていうか、エマは見ちゃだめよ!私みたいになっちゃう!
その瞬間、私の体が宙に浮いた。
え?なに!?
エマの顔が見えた瞬間、持ち上げられたのだと知った。
え?持ち上げられた?ってことは、私めっちゃ小さくなってるじゃない!?なんで??
「なにこのラバーダッキー?目の色とか左右の赤いリボンとか、リリにそっくり」
え?私の事?私、ラバーダッキーになってるの!?
「すごくかわいい!ウィリアム殿下にも見せてあげたいな~!リリにそっくりだし、絶対喜ぶよね!」
そう言って部屋を出ていこうとしたが、ドアの前でピタッと止まった。
「そうじゃん!リリは!?」
忘れないでよ!
エマは部屋を見渡した。
「う~ん…?あ、ほうき掛け終わったから戻しに行ったのかな?」
エマは納得すると私を抱えて外へ向かった。
* * *
エマは学園の生徒会室の扉をノックした。
すると中から「入れ」と声がする。おそらく生徒会長の声だろう。
「失礼します!」
エマがそう言って扉を開けた。
すると、中で書類を書いていたリアム様が微笑みながら顔をあげて、エマを見て不思議そうな顔をした。
「あれ?エマ嬢、リリーは?」
「リリはいないです。ごめんなさい」
リアム様は首を振った。
「いや、いいんだよ。リリーの気配がしたから不思議だっただけで。それより、なにか生徒会に用でもあるの?」
「生徒会…というか、ウィリアム殿下にですけど」
リアム様は首を傾げた。
「僕に?」
よく見えないけどエマが頷いたと思う。
「はい。これを見せに来ました!」
そういって、私が差し出された。急に動き出したから少し目が回ってしまった。
気づいた時にはリアム様の手の上だった。
リアム様は顔を私にすごく近づけて観察している。
「へえ…リリーにそっくりだね」
「ですよね!」
リアム様は少し考えた後、私の頭を撫でた。
な、なに!?ラバーダッキーはかわいくて撫でたくなるのかしら?
「かわいいね、これ」
リアム様がそう言うと、エマは全力で首を上下に振った。
「ですよね!ですよね!お世話したくなります~!」
「たしかにそうだね」
そう言ってリアム様は何を思ったのか、テーブルの上のクッキーを摘まんで私の口元に当てた。
おそらく、ラバーダッキーのくちばしの部分だろう。
その瞬間、ポンとあたりが白い煙に包まれた。そして、煙が晴れると私は元の体に戻っていて、クッキーをくわえながらリアム様の膝の上に座っていた。
「え?」
私の口からクッキーがぽろっと落ちた。
それをリアム様がキャッチして、また私の口元に持っていく。
私は何も考えずにそれを食べた。
そして、我に返って慌てて立ち上がる。
「え、あ、えっと、ごめんなさい!リアム様!今どきますね!」
リアム様はにっこり笑ったまま私を見ていた。
「やっぱり、リリーだったんだ」
や、やっぱり!?やっぱりってなに!?
すると驚きで固まっていたエマが声を上げた。
「”やっぱり”…?」
リアム様は頷いた。
「うん。なんとなくだけど、リリーの気配がしてたからね」
なにそれ、怖………
「じゃあ、掃除しなきゃなので失礼します!」
私はエマの手を掴むと生徒会室を後にした。
寮の部屋に戻った私たちは掃除の続きを始めた。
エマが説明を求めていたけれど、私もよくわかっていなくて曖昧になってしまった。
『ラバーダッキーのキュルキュルな日常』はローテーブルの上にあったので捨てることにした。
もう誰も被害にあわないように。
ゴミ捨て場に置いた『ラバーダッキーのキュルキュルな日常』の裏表紙には
「お菓子くれなきゃいたずらするよ」
と金の文字で書いてあった。
ハッピーハロウィン!
明日はまた本編を投稿します
少しでも面白いと思ったら評価、ブックマークやリアクションをしてくださるとすごく励みになります!(^▽^)/




