16 リアム様とお昼
今日はすべての授業がクラスごとだった。
文学では物語を読み始めた。『優しく愚かな勇者の話』という、魔物を倒すためにすべてを犠牲にした少年の話らしい。最初の一章だけでもすごく興味深くてこれから読むのが楽しみだ。エマは文字の多さに頭を抱えていたけれど。
地学では我が国、フェンスターラーデン国の気候について学び始めた。フェンスターラーデン国は北と南で気候がすごく違うらしい。想像通り、北が寒くて、南は温暖なんだとか。ホルツシュタブ学園はちょうど間くらいに位置していて、気候が不安定だそうだ。どうやら地学は先生の名前通り、気候、地形、国の情報と学んでいくみたいだ。
そして、チャイムが教室に響き、お昼の時間になった。
「リリ、今日はウィリアム殿下と食べるんだよね?」
「うん。エマも来ていいと思うけど」
私がそう言ったらエマはブンブンと首を振った。
「さすがに邪魔できないよ~私はどっかでのんびりしてるから気にしないで!」
申し訳ないわ…やっぱりエマはすごく優しい。
「ありがとう、エマ」
そして、私は教室を出た。
一緒に食べるとは言ったけど、どこで待てばいいかな…?
とりあえずあの白いベンチのところへ行くことにした。するとちょっと後にリアム様がやってきた。
「やっぱり、リリーはここにいると思った」
「え、探した?」
「ううん、直接来た」
え、じゃあ、なんでここにいるってわかるの?怖い…
そんな私の感情も知らずに、リアム様はにっこりと笑う。
「じゃあ、行こう。リリーは何が食べたい?」
「私、購買の卵サンド食べたいわ。」
「いいね。僕は新メニューの『米の球』とかいうのにしようかな」
『米の球』?それっておにぎりなのでは!?ていうか、米ってあったんだ!
おにぎりがあるなら、それ以外の選択肢はないに等しいわ!
「やっぱり私もそれがいい!」
それから私たちは購買へ行って無事におにぎりならぬ『米の球』をゲットした。
『米の球』は名前通りボール状のおにぎりだ。細い海苔のようなものが周りに巻かれていて、水風船の柄みたいだ。
おにぎり…懐かしい…あ、そうだ。自分で三角にすればいいんだ。中身入ってないおにぎりだし。
私は丸のおにぎりを丸みを帯びた三角形にした。
そして、のりを全部はがしておにぎりの下の方につける。
「できた!」
手元には前よりしっくりくるおにぎりが座っている。少し不格好だけど、久しぶりに握った割には上出来だと思う。
「いただきます」
私は一回おにぎりを置いて両手を合わせた。
「なに?そのあいさつ?」
しまった。そういう文化はないんだったここには。
「えっとね、食材と作ってくれた人と神様に感謝を込めていただきますっていうのよ」
私がそう説明すると、リアム様は納得したように頷いてくれた。
「へえ、すてきだね」
リアム様、異文化の受け入れが早いわ。さすがね。
それから、まったりと過ごした。
午後の数学で素因数分解の応用をやった。素因数分解はまだ理解ができる部分だからよかったけれどこれからが心配だ。イチ先生は相変わらずキャラが濃かった。




