14 ファンタジー図書館
数術室の中は普通の教室のサイズだった。数学はクラスごとらしい。
「さあ、みなさん!席に着きましたね?おいらはニブンノ・イチ。よろしく。では始めていきますよ。ええ、始めちゃいます」
え、キャラ濃…
エマもおなかを抱えて肩を震わせてる。
運営……いや、くるってわかってた!わかってたけど!実際に聞くと面白い。
しかも周りは真面目に聞いてる。断じてこっちが頭がおかしいわけでない、はず。
「数学はね、すばらしいんですよ。ええ、とっても素晴らしいです。あ、魔術の時にも数学は使うので覚えておいた方がいいですよ。ええ、覚えていてください。あ、そうですね、おいらが数学を好きになったきっかけは……」
そこから先生の話が続いた。
* * *
ベルが鳴った。
「おっと、もうこんな時間。おいら、しゃべりすぎちゃいましたね。では、配ったプリントをしっかりとみておくように。ええ、しっかり見てください。では、さらば!」
先生は両腕を斜め上にピンと伸ばしてドアから出ていこうとし、手をぶつけて「いたい、いたい…ええ、とってもいたい」と言いながら歩いて行った。
「くっ……ふふ」
思わず笑ってしまった。慌てて周りを見たが、隣のエマ以外には聞こえてなかったようだ。よかった。
いや、笑うのも仕方なくない?キャラが濃すぎると思うのだけど
「リリ……ふふ…あの先生、おもしろいね」
エマが笑いながら声をかけてきた。
「ええ、そうね」
エマの笑いが収まるのを待って教室を出る。
「リリ、今日はどうするの?」
「私は図書館をのぞきたいのだけれど、エマは来る?」
「私はいいや~林を散歩してくるね」
「わかったわ。気を付けて」
「リリもね」
そして、私は図書館へ向かった。ここの図書館は国内でもかなり蔵書数が多いと聞いている。楽しみだ。
図書塔に着くと、階段を使って上へ登っていく。木製のドアを開けるとそこは本好きのパラダイスだった。
ハーフ吹き抜けみたいな感じで、右側には天井まで続く本棚があって、本がびっしり詰まっていた。左側は天井の下には机やいすがたくさん並んでいて、上の階はさらにたくさんの本棚があった。
「いらっしゃい。図書館は初めてですか?」
眼鏡をかけてエプロンをした優しそうな女の子に声をかけられた。瞳は黄色でポニーテールの髪の毛は水色だ。
「はい、昨日入学したばかりで」
「まあ、そうなのですね。あ、私はフィオネ・ザンフト。図書委員長です。気軽にフィオネと呼んでくださいね」
フィオネ・ザンフト…たしか、侯爵令嬢だ。
あ、そういえばゲームにもいた気がする。行き詰まった時にヒントをくれるキャラだったはずだ。
「私はリリアベル・ミシュフェニスです。リリアベルとお呼びください。委員会があるんですか?」
「ええ、二学年からなれますよ。」
「じゃあ、来年ですね」
私は改めて図書館を眺めてみる。光がちょうどいいくらい入って居心地のいい空間だ。
「あ、私、本が読みたくて」
「まあ、めずらしい!勉強したいって子は多いのですけど、純粋に本を読みたいって子は久しぶりです!ぜひぜひ、好きなだけ借りてって」
フィオナ先輩は少し前のめりで目を輝かせて言った。
そんな彼女につられて私のテンションも高くなる。
「ありがとうございます!私、ミステリーが読みたくて!とくに最後でどんでん返しが来るものとか、読者を翻弄させるものが好きで。あと、ファンタジーものも大好きです!」
「いいですね!じゃあ、ファンタジーミステリーのものをいくつか紹介しますね」
するとフィオナ先輩は小さな宝石のついた銀の棒を取りだし、目を閉じた。すると、宝石が光だし、大きな本棚から本がいくつか浮いて降りてきた。
それらはすべてフィオナ先輩の手の中に納まった。
「はい、どうぞ。私のおすすめのファンタジーミステリーものです。」
「ありがとうございます!あの…魔法すごいですね!」
私も使えるかしら、そんな魔法。使えるなら絶対使いたい
「ありがとう。私、魔法研究部なのよ」
「魔法研究部…!」
私、絶対魔法研究部入ろう
「部活も委員会と同様、二学年からはいれますよ」
「なるほど。ありがとうございます!」
フィオネ先輩はふんわりと笑って手を振った。
私はぺこりとお辞儀をして図書館を去る。
5冊の本を借りてルンルンな私は軽い足取りで階段を下りてった。
本に夢中な私はリアム様のことを完全に忘れていた。
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